このブログで過去にルーペによる粉瘤のくりぬき法を紹介しました。
さて今回は下顎に生じた粉瘤についてです。
この患者さまは名古屋大学病院の乳腺外科のドクターからの紹介です。
左下顎にしこりが主訴です。表面がなだらかに隆起しており淡青色に透見できます。
指で触ると境界はわりとはっきりとしています。臨床的に粉瘤(ふんりゅう)を疑いました。

数年前に他のクリニックで皮膚生検を受けており周囲組織との癒着が疑われます。このような症例ではくりぬき法ではなくメスによる切除法が安全です。
問題は切除デザインです。下顎の皮膚割線を利用して縦に切開するのが普通ですが術後の創が目立ちそうです。腫瘤からやや離れていますが切開線として下口唇の赤唇縁ラインを利用することを選択しました。

顔面の手術に局所麻酔の針として29Gもしくは30Gの細い針を使用しています。
これにより麻酔の痛みが最小限に抑えられます。
腫瘤はなんと筋層内(口輪筋~下唇下制筋)に局在していました。私も皮膚外科医として数多くの粉瘤を摘出してきましたが筋層内の粉瘤は珍しいです。

腫瘤(粉瘤)を筋層から丁寧に摘出、筋層をバイクリルと呼ばれる吸収糸で縫合します。

皮膚縫合は創部が目立ちにくい白ナイロンをあえて使いました。白ナイロンなら手術直後から傷が目立ちません。臨床診断、皮膚切開のデザイン、腫瘍の完全摘出、これらトータルな技量が皮膚外科医に要求されます。

病理組織検査の結果は粉瘤でした。
診察、手術、病理組織検査いずれも保険診療ですのでご安心ください。
手術の1週間後に抜糸をしました。抜糸直後の写真ですが腫脹も少なくこの段階ですでに傷もほとんどめだちません。 院長、相変わらずいい仕事していますね(笑)。

粉瘤手術もなかなか奥深いものですね。
