名古屋市中区千代田3-14-14 パルティール鶴舞2F TEL.052-332-7870

本当の眼瞼下垂手術

織田信長の時代、「人生50年」と言われていました。
人間の身体は50歳を超えるとあちこちに支障が出てくるものなのでしょう。

眼瞼下垂がまさにその代表ではないでしょうか。
ここで述べる眼瞼下垂は後天性眼瞼下垂のことです。加齢、長期のコンタクトレンズ装用などにより眼瞼挙筋と呼ばれるまぶたを持ち上げる筋肉が弱まることで十分に目が開かない状態です。額にシワを寄せたり眉を上げたりして目を開こうとするので、額にシワが刻まれやすくなる、眉毛が上がる、目つきが悪くなるなどの問題を生じます。
また信州大学形医学部成外科 松尾 清教授が提唱されるように眼瞼下垂が肩こり、偏頭痛、うつ病、自律神経失調症の原因となっている可能性もあります。

今回は後天性の腱膜性眼瞼下垂について述べます。
最も有効な治療は手術です。瞼板から離開した眼瞼挙筋(挙筋腱膜)を眼窩隔膜とともに瞼板に縫合固定します。この手術では信州大学医学部形成外科 松尾 清教授が提案された松尾式眼瞼下垂手術が有名です。

離れた眼瞼挙筋を瞼板にタッキングするだけの術式が簡易で侵襲も少ないのですが術後の癒着が弱く再発率も高いようです(私も以前はこの手技でした)。

アンチエイジング治療を標榜する私として腱膜性眼瞼下垂の本当の手術は絶対に押さえなくてはなりません。

平成21年2月のとある日、M総合病院へ正当な松尾式眼瞼下垂手術の見学に行ってきました。もどきではありません。本当の松尾式です。

この病院の形成外科部長の北澤 健先生は信州大学医学部形成外科医局の先生です。
その高い技術には定評があります。東海地方のみならず全国からも患者さまがお見えで
眼瞼下垂手術は1年以上待たなくてはならないほどです。
今回は北澤先生のご好意で手術を見学することが出来ました。手術後は外来で松尾理論、この術式のポイントについていて事細かに教えてもらいました。
北澤先生にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます(手術の技量もさることながらそのお人柄もとても素晴らしい先生です)。
 
 

上の図を参照してください。図左は眼瞼下垂のない状態です。挙筋腱膜(青色)と瞼板のゆるみや離開によって、瞼板を挙上する力が低下した状態が図右です。
 
 
 

上の図は腱膜性眼瞼下垂の手術(挙筋腱膜前転術)です。眼窩隔膜(紫色)を切開して眼窩脂肪を挙上し挙筋腱膜(青色)の状態を調べてこれを適正な位置まで前転します。
前転した挙筋腱膜(一部、眼窩隔膜を含む)を瞼板に縫合固定します。
理論は簡単なようですが実際の手術には複数のポイントがあります。
 
 

切開した眼窩隔膜といっしょに挙筋腱膜を前転したところです(右上眼瞼)。
白く見えるのが挙筋腱膜です(正確には眼窩隔膜と挙筋腱膜が一体となったもの)。
眼窩脂肪を押し上げてWhitnall 靭帯まで挙筋腱膜を剥離します。
つっぱりをなくすため下横走靭帯は必ず両端でカットするのがポイントです。
 
 

挙筋腱膜を瞼板に縫合固定したところです。
この状態で座位にして上眼瞼の開きを確認します。左右差があれば固定し直します。
後退していた眼窩脂肪が下がることでsunken eye (眼瞼陥凹)の改善も期待できます。
いろんな意味で理にかなった術式です。
 
 

縫合固定(左上眼瞼)のアップです。原則として3点縫合です。眼瞼挙筋は上直筋と連続しており筋肉の走行があります。走行と同じベクトル方向に固定するのがポイントです。
 
 

写真中央が北澤健先生です。その眼差しは深く澄み切っています。
写真左は院長です。やや緊張モードですね。
 
 
インターネットで眼瞼下垂を検索すると大手チェーンの美容外科が派手に広告しています。結膜側からミュラー筋を縫い付けるものや挙筋腱膜をタッキングするだけのものが多いようです。これで値段は両側で50~80万も請求されるから驚きです。

私はこの松尾式が再発率が極めて少ないことからとても優れた方法だと思います。
ミュラー筋の刺激が低下することにより頭痛、肩こりが改善するかたも多いです。
診断基準を満たせば保険適応となります(3割負担で両側 5万円ほどです)。

目が開けにくいなど眼瞼下垂でお困りの方、皮ふ科SSクリニックを受診しては
いかがですか?

 
 
参考文献
まぶたで健康革命  松尾 清 小学館
眼科プラクティス 19 外眼部手術と処置  大鹿哲郎 編集 文光堂
セレクト美容塾・眼瞼 改訂第2版  美容塾 編著 克誠堂
スキル美容外科手術アトラスⅠ 眼瞼  市田正成 文光堂
形成外科 50巻記念号 形成外科手術スタンダード30 2007年増刊 克誠堂
形成外科 特集 上・下眼瞼の除皺術 2003年2月号 克誠堂
眼瞼学 眼瞼下垂症手術  栗橋克昭 メディカル葵出版


このページの先頭へ戻る