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診療だより

皮膚腫瘍

  • 脂肪腫 season 2

    2009-04-29 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    脂肪腫で当院を受診された患者さまからよく言われることがあります。
    どの科を受診すればいいのか分からない。外科なのか整形外科なのか?
     
    皮膚科で手術してくれるとは思わなかった・・・
     
    私は勤務医時代から脂肪腫の手術も数多く手がけてきました。
    その時の経験で感じたことがあります。
     
    ①脂肪腫は頭、後頚部、背、肩、下腹部、前腕によく見られる。
      その中でも肩、下腹部の脂肪腫は大きく育っていることがある。
    ②背部の脂肪腫を摘出すると肩こりの軽減を感じる人がいる。
    ③臨床的に脂肪腫と思っても病理組織検査で脂肪肉腫と診断されることがまれにある。
     
    脂肪腫は良性腫瘍です。
    しかし大きくなると整容的に具合が悪いので肩、下腹部の脂肪腫は早期に摘出するようにしています。
    皮膚科医として脂肪肉腫(間葉系のがん)を見逃すことは許されないので全例を病理組織検査
    提出しています。
     
    当院で行う脂肪腫の治療を供覧します。
    脂肪腫の摘出術を受けたい患者さんに治療のイメージをお伝えすることができれば嬉しいです。
     
    左鼡径部(股の付け根)の脂肪腫です。触ると柔らかい腫瘍です。

     
     
    大きく切開して摘出するのが一般的です。しかし私は皮膚腫瘍のプロフェッショナルです。
    傷を最小にすることをいつも心がけています。腫瘍の中央に11番メスで小切開を加え、
    揉みだして腫瘍を露出させてます。(上の写真と向きが違います)

     
     
    摘出した検体です。なんともかわいらしい形ですね。

     
     
    傷はわずか5mm程度です。創は何ミリまで縮小できるのか?
    限界にチャレンジしたいですね。

     
     
    真皮縫合を丁寧に行うので創はほとんど目立たなくなります。
    手術の所要時間は15分くらいです。

     
     
    左肩の脂肪腫です。かなり大きく手強い症例です。肩の脂肪腫は下の筋膜と癒着していることが
    多く切開を大きく取らざるを得ないです。しかし、本心では最小切開で摘出したい。
    特に肩関節付近は術後に創が瘢痕ケロイドとなりやすいのです。

     
     
    このような症例で心強い武器が皮膚エコーです。LOGIQ Book XPの出番です。
    脂肪腫の末梢側(肩関節と反対方向)は筋膜と癒着がなさそうです。
    (黄色の矢印が筋膜です)

     
     
    肩関節付近の脂肪腫は筋膜と癒着がありそうです。癒着があるかどうかは肩を動かしてもらい
    腫瘍と筋膜との引きつれの有無で判断します。黄色矢印の筋膜が引きつれています。
    こうして術前のエコー検査で腫瘍の三次元的なイメージを頭にインプットします。

     
     
    肩関節方向には傷を伸ばしたくないので腫瘍の中央部にのみ切開します。
    周囲を揉むと脂肪腫が飛び出てきました。

     
     
    ここからがポイントです。
    スーパーメッチェンで周囲を剥離します。出血しないようなるべく鈍的に剥離を進めます。

     
     
    皮膚エコーの情報を参考にしながら腫瘍の底面を指で鈍的に剥離します。
    この指での剥離はとても有効です。院長のゴールドフィンガーの出番です。

     
     
    脂肪腫がどばっと出てきました。

     
     
    露出した左肩の三角筋です。指で鈍的に剥離したため筋肉には損傷がありません。

     
     
    ずいぶんと大きな脂肪腫ですね。これだけ大きいと病理組織検査で脂肪肉腫と鑑別することが
    大切です。今までは脂肪腫のためカッターシャツが着づらかったとのことです。
     
    これでもう大丈夫です。 写真は脂肪腫の表側と裏側です。


     
     
    腫瘍の治療で最も大切なことは腫瘍の完全摘出です。できれば傷も小さいとよりいいですね。

     
     
    脂肪腫は皮膚良性腫瘍です。腫瘍なので少しずつ大きくなります。
    邪魔になり腫瘍が気になりだしたら治療を受けるタイミングだと思います。

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