粉瘤のくりぬき法の問い合わせが増えています。
最近では滋賀県から患者さまが来られ手術しました。
はっきり言います。
くりぬき法はそれほど難しくないです!!
ちょっとしたコツをつかんで、症例を選べば大丈夫です。
くりぬき法は私のオリジナル技法ではありません。
東京慈恵医科大学附属病院皮膚科の上出良一(かみでりょういち)先生が最初に報告されたと記憶しています。
私のブログは結構、皮膚科の先生方にも読まれているようです。
くりぬき法を施行した日は手術室が粉瘤臭でもわ~っとします。
そこで臭い分けということで全国の皮膚科の先生がたにもくりぬき法を施行して頂きたいと切に思い、、再度くりぬき法について書く次第であります。
本音を言うと粉瘤ではなく、眼瞼下垂手術などセンスが要される手術に没頭したいのですが・・・
背部の粉瘤です。上方に発赤があるのが気になります。炎症で周囲と癒着があるとくりぬき法では完全に摘出できないことがあるのです。

このような症例ではまずエコー検査です。周囲組織との関係をくまなく観察しますが癒着を示唆するひきつれ像はありません。またエコー画像より粉瘤の局在は浅く真皮内に限局しているのが分かります。

4mmトレパンで発赤部をくり抜きます。

内容物を出します。なんとも言えない臭いがたちこめます。

ある程度、内容物が出し切るとCyst(嚢腫壁)が飛び出てきます。

Cystを周囲組織から丁寧に剥離します。ここが一番のポイントです。
Cystの一部をモスキートで保持し、眼科剪刃で鈍的に剥離すると上手くいきます。
この際に2倍のルーペを使うとCystの輪郭がよく分かります。私は必ずルーペを使用します。このちょっとした手間が手術成績を大きく左右します。

ぺしゃんこになったCystがきれいに出てきます。左側のセッシでつまんでいる部分が周囲組織(真皮)とCystの境界です。必ずCystの底を確認します。

もちろん、完全摘出です。

摘出後はCystの残存がないかをルーペで確認します。

夏は化膿するから手術しないほうがよいと言われる大先生がいるそうです。
全くナンセンスです。私は季節に関係なく一年中手術しています。
開業してから感染した症例は一例もありません。医学は進歩します。
ゲンタシン軟膏を患部に塗って手術終了です。お疲れさまでした。翌日から入浴可です。

病理組織検査で確認します。しっかりと取れているのが分かります。

他の症例です。粉瘤が小さいとくりぬき法で病変のみがすっぽりと取れます。
これはくり抜き法の極みですね。

すべての症例でくりぬき法ができる訳ではありません。
化膿して切開排膿されたことがある粉瘤はメスで切除したほうが無難です。
下の病理写真を見てください。切開排膿した後にメスで切除摘出しました。
Cystの周囲組織が瘢痕化しています。Cystと周囲組織が癒着するためくりぬき法では完全に取りきるのが困難です。症例の選択は重要です。

くりぬき法は決して難しくありません。皮膚科の先生、がんばりましょう!
【大切なお知らせ】
化膿したことがある粉瘤はくりぬき法はできません。
粉瘤の袋が周囲組織と癒着してしまうからです。メスでの切除しかできません。
耳の粉瘤もくりぬき法は不適です。
また、現在粉瘤が化膿して赤く腫れている状態なら、お近くの皮膚科で切開排膿処置を
受けてください。その状態で当院を受診されても手術はできません。
地元の皮膚科で切開してもらい、化膿が落ち着いた後紹介状を持参して来院してください。
