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Qスイッチルビーレーザー 【炎症後色素沈着後を超えて】

頬部にできた10円玉大のシミ、うっとうしいですね。
 
これは老人性色素斑(日光黒子)と呼ばれるシミです。
病理組織学的には表皮基底層にメラニンが増加しています。高齢者では表皮肥厚や真皮にもメラニンの滴落が見られることがあります。
 
私は老人性色素斑にQスイッチルビーレーザー(JMEC社 The Ruby Z1)を用いて治療しています。老人性色素斑にはルビーレーザーが最も切れ味がよいと確信しています。

 
 
レーザー照射すればその瞬間に魔法のようにシミがなくなる、と思って来院される方もいられます。今回はあえてその合併症である炎症後色素沈着後についてお話します。
 
以前にもこのブログに登場してた61歳の男性です。

 
レーザー照射11日後です。シミはきれいになくなっています。エクセレント!

 
照射28日後です。また濃くなっています。患者さんはがっかりしています。

 
この現象がレーザー治療の最大の合併症である炎症後色素沈着です。
研究会の統計などではQスイッチレーザーによる色素病変治療の約40%に炎症後色素沈着が発生するとされています。
 
照射約2ヶ月後です。また薄くなってきているのが分かりますか?

 
照射約3ヶ月後です。かなり目立たなくなってきました(現在はもっと薄くなっていることでしょう)。Mさん、また受診してくださいね(笑)。

 
炎症後色素沈着は消退するのです(成書では顔で6ヶ月以内に消退すると記載されています)。 しかし、できれば生じさせたくないですよね。
 
日本美容皮膚科学会雑誌 2009年8月号に興味深い演題が載っています。
東京女子医科大学付属青山女性医療研究所美容医療科の根岸 圭先生の演題です。
 
Qスイッチレーザーを照射直後の白色変化(IWP)が生じる最小出力で照射した群とより強い出力で照射した群を比較しています。
 
炎症後色素沈着の頻度は前者で8 %、後者で34 %と大きな差がでています。
 
レーザー照射は出力を抑えて照射したほうが炎症後色素沈着が生じないのです。
ただし白色変化(IWP)が出ないほど出力を抑えるとシミは薄くなりません。
 
このさじ加減が大切なのです。私は毎日、このさじ加減と格闘しています。
 
ちなみに写真の患者さんは最小出力の4J/cm2で照射しています。
それでも炎症後色素沈着が出てしまう人はいるのです。
フィッツ・パトリック(アメリカの皮膚科の大先生)のスキンタイプが関係しているのかもしれません。
 
他にも炎症後色素沈着を予防する手段として、照射部への10日間テーピング密封療法、痂皮がはがれた後のハイドロキノン軟膏外用を行っています。
 
(PLUS RESTORE NANO HQクリーム フラーレン配合です。クリニックで愛用しています。)

 
統計は取っていませんが、当院での炎症後色素沈着の発生率は10%以下でしょうか。
しみ治療はレーザーを照射するだけの単純な治療ではないのです。
 
しみ治療に対してポリシーがあり、しっかりとアフターフォローするクリニックを選ばれるのがよいと思います。
 
 
参考文献
日本美容皮膚科学会雑誌 2009. Vol 19 No.3
シミの治療  葛西健一郎 文光堂
Qスイッチルビーレーザー治療入門  葛西健一郎 文光堂


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