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院長Blog(治療について)

名古屋市中区にて皮膚科・美容外科を診療する「皮ふ科SSクリニック」の院長Blogです。

進化するセルリバイブジータ

セルリバイブジータとは何ぞや?
 
採血した血液から白血球、血小板を分離し、細胞成長因子を添加してシワに注入する
治療です。
 
以前もこのブログで紹介したことがあります。
患者さんの同意が得られましたので、頬部の施術例を提示してこの治療に対する印象を
述べます。最後までお付き合い下さい(笑)。
 
54歳の女性です。頬部のたるみと小じわを気にされて来院されました。
ほうれい線が目立ちますね。ほうれい線の外側に放射状に伸びる小じわが見えますか?

 
ほうれい線にヒアルロン酸を注入するのもありです。
今回は頬部の小じわも治療したいのでセルリバイブジータを選択しました。
 
ほうれい線にはある程度濃い細胞成長因子を添加したものを注入します。
ヒアルロン酸と違い、皮下に注入するのがコツです。

 
放射状の小じわには真皮内にメソの要領で点状に注入します(成長因子の濃度を変えないとダメですよ!)。

 
マッサージしてほどよくならします。

 
さあ2週間後の写真です。最初の写真と比べてください。
ほうれい線がずいぶんと浅くなりましたね。ヒアルロン酸注入と比べると注入部を触れた
感じがとてもナチュラルです。放射状のしわはあと一歩といったところでしょうか。

 
顔全体をお出しできないのが残念です。
初診の時と比べると顔全体の印象が変わりましたよ。顔全体にハリがでた感じです。
 
通常は1ヵ月後くらいより効果が出始め、3ヶ月くらいで仕上がります。
この方は割りと早く効果がでました。
これから頬部の放射状のシワにも効果が出てくるといいですね。
 
血小板再生療法(セルリバイブジータなど)なんて効果でないよ~、との声を聞くことがあります。効果ありますよ。効果を出すクリニックを選んでくださいね(笑)。
 
気になるお値段です。
試験管1本(約1cc)で158,000円、2本で252,500円です。
 
1本でほうれい線の部分がカバーできます。
2本でほうれい線+眼の下の小じわ(頬部の小じわ)の治療が可能です。
1本で顔のパーツ、2本でほぼ全顔と考えてください。
 

よく美容の広告でキャンペーンと銘打って料金が出ていますが、それは試験管1本の値段なのか、2本分の値段なのかをそのクリニックに確認するのがよいと思います。
 
持続期間が3年くらいとされていますのでヒアルロン酸注入と比べるとコストパフォーマンスがよい気もします。
 
本当に3年効果が維持するのか?
3年後にこの方の写真を出してみたいと思います(許可がいただけたらの話ですが)。

マスターたちとの日々 その4

ついに念願がかないました。
 
葛西形成外科さん(大阪)に行くことができたのです。
葛西健一郎先生は日本で有数のレーザーの大家です。
 
ずっと見学に行くことを夢見ていました。
 
私が葛西先生のことを知ったのは書籍「皮膚科診療プラクティス 17 Rejuvenationの実際」文光堂がきっかけです。この本は葛西先生がゲスト編集でした。

 
その頃はまだ勤務医でしたが美容皮膚科とはなんぞや、との問いかけに惹かれたのを覚えています。
続いて購入した「シミの治療」文光堂はさらに衝撃的でした。
シミとはなんぞや? 正しい治療とは何か?
葛西先生の長年にわたる経験に裏打ちされた理論に衝撃を受けたのを覚えています。
 
クリニックを臨時休診して(私の大切な患者さん、すみませんでした)泊まりで葛西形成外科さんに行ってきました。
 
日常診療で疑問に思っていることはたくさんあります。
●Qスイッチレーザー後のテープは10日間がベストなのか?
●色の薄い日光黒子のQスイッチレーザー照射の設定モードは?
●単純黒子でNormalモードでQスイッチモードを併用する場合、どちらのモードを先に照射すべきか?
●Qスイッチレーザー照射後の炎症後色素沈着、消退しないものもあるのか?
●Qスイッチレーザー照射後に残った日光黒子、再照射はいつが適切か?
●ADMの本当の最適照射モードは何なのか?
●Qスイッチレーザー、ルビーとYAGの使い分けはなにか?
●Qスイッチレーザー照射後のハイドロキノン軟膏の外用は本当に意味があるのか?
などなど。
 
全てに満足のいく答えを頂くことができました。
2日間でしたが間違いなく私のレーザー治療は深まりました。
 
左から山村先生、葛西先生、しんちゃん先生です。

 
葛西先生の外来、治療を見させてもらいました。
1歳児の顔半分に及ぶ先天性母斑のレーザー治療。
すごかったですよ。この治療をやりぬく葛西先生の覚悟を肌で感じました。
「オレにしかできないんだ」という熱いパッションがびんびん伝わってきました。
こちらの心も揺さぶられましたね。
この患者さんのためにQスイッチレーザーのハンドピースを特注であしらえる程です。
 
常人にはできませんよ。本気の覚悟です。
 
葛西先生はしみ・あざ治療で有名ですが、手術も素晴らしかったです。
この日は腋臭症の手術を見学しましたが、片側でわずか20分でした。
縫合のコツも興味深かったです。
ある意味、葛西先生は天才的な先生です。ちょっと真似はできませんね。
 
閑話休題。
私がレーザー治療のバイブルとしている「しみの治療」にサインを頂きました。
この本は最低でも20回は読まないとダメですよ。

 
内容の関係上、ブログでは書けないこともたくさんあります。
私が心に残った葛西先生語録を少しだけ書きますね。
 
「相関関係と因果関係の混同」
「real と illusion」
「迷ったら強く照射する!」

「赤みは2種類ある。紅斑症と毛細血管拡張症である。紅斑症には炎症が伴っている。」
 
○ハイドロキノン軟膏を外用したから炎症後色素沈着が軽減したのではなく、ハイドロキノン軟膏を外用することに伴う遮光、患部の丁寧な手当てが炎症後色素沈着を軽減させている可能性がある。相関関係と因果関係を混同してはいけない。
○Qスイッチレーザー、炭酸ガスレーザー、脱毛レーザーはreal な治療である。結果が写真で分かるから。サーマクール、フラクセルレーザーはillusion(幻想的) な治療である。
なぜなら結果が写真に現われないから。
○炎症が原因の紅斑症(例えば酒さ)の治療は炎症を抑えること。レーザー(フラッシュランプ)治療は炎症がない器質的疾患にのみ有効である。
 
これ以上書くと、レーザーメーカーからクレームがきそうなのでもう止めますね。
 
葛西先生と2日間をともにしてつくづく感じたことがあります。
答えは現場(臨床結果)にある。
 
この治療がどうして効いたのか、または効かなかったのか?
臨床結果からフィードバックして理論を構築する。

おバカな美容皮膚科、美容外科とまともな皮膚科、形成外科の違いは、このフィードバック作業をするかどかによるのでしょう。レーザーメーカーの言うことを鵜呑みにしているような
先生はちょっと頭がお粗末ですね。
 
私にとってはエポックメイキングな2日でした。
 
この症例覚えていますか?

 
notoriousな某美容クリニックでレーザー照射を受けた患者さんです。
以前にもこのブログに登場しました。
 
今の私なら全て分かります。
このしみは炎症後色素沈着ではなく、照射の誤りである!!

このまだらな色調は照射パワーが不十分です。低すぎるのです。
またまだらになっているところを見ると、照射にムラがありかなり雑です。
ビームプロファイルが一定でなく、粗悪なレーザーで照射を受けている可能性があります。
 
レーザー治療もすべては理論なのです。
 
そのことを葛西先生から教えて頂きました。
 
葛西健一郎先生へ
2日間、手取り足とり本当にありがとうございました。
先生のレーザー治療に対する理論と覚悟を身をもって教えて頂きました。
私がどこまでまっとうにできるのか分かりませんが、先生のように自分の頭で考え、臨床結果から絶えずフィードバックするようなまっとうな医師であり続けたいです。

皮膚外科学 秀潤社

秀潤社さんから「皮膚外科学」が発刊されました。
 
日本皮膚外科学会が監修しています。
かなり厚いテキストです。カラーが多く、皮膚外科に興味のある若手の皮膚科医にもよく
分かるように構成されています。

 
どれも臨床に裏打ちされた実践的な内容ばかりです。
大原國章先生の巨大母斑の内容は凄かったです。何十年と臨床一筋に頑張っておられる
先生の治療姿勢を改めて感じました。
 
皮膚外科学会前理事の熊野公子先生のお言葉を拝借します。
 
皮膚外科とは‘皮膚科学の知識が基本になる疾患の手術治療学’と定義される。
 
皮膚外科と形成外科の違いがこの一行に凝集されています。
 
実はしんちゃん院長も「粉瘤」と「サージトロン」の2項目で執筆しているのです。

 
サージトロンの項目も気合を入れて執筆しました。

 
皮膚外科に興味がある皮膚科の先生は読んで下さいね。
(ゆっきー先生もさっそく読みました)


マスターたちとの日々 その3

2月24日の午前診はご迷惑をおかけしました。
 
クリニックにいらっしゃった方も多かったようです。
この場を借りて謝らせてください。
 
眼瞼下垂症手術を教えて頂いた北澤先生のところへ行って来ました。
 
順調に眼瞼下垂手術の症例数が伸びています。
しかし、レベルアップするには自分だけの殻に閉じこもり自己満足に浸っていてはダメです。
 
ご自分のホームページなどでスタッフから手術が上手いと言われる、と自己評価している先生もいらっしゃる、と聞いたことがあります。
 
ナンセンスです。手術が上手い先生は世の中にごまんといます。
また、本当にお上手な先生は自己賛美はしないものですよ。
 
超一流の形成外科専門医の細かい手術を見れば、上には上がいることを嫌というほど思い知らされます。自称ナンバーワンではダメなのです。
 
自分は上手いと思った瞬間に停滞と後退が始まります。
 
話が脱線しました。
 
半日でしたが、とても勉強になりました。
眼瞼下垂手術の最大の合併症である、眼裂高の左右差。
どう対処するか?
 
縫合のやり直しのみではなく、挙筋腱膜への切り込み、眉毛側での眼窩隔膜の切開など。
信州大学形成外科のスーパーテクニックをたくさん学びました。
 
写真、左から2番目が北澤先生、左から3番目がしんちゃん院長です。
(多くの先生方が北澤先生の卓越した手術技量に魅かれ、手術見学に来られています)

 
これからも臨時休診することがたびたびあると思います。

向上しないことには、皮ふ科SSクリニックの値打ちがない。そのように思っています。

腱膜性眼瞼下垂症 ー術式の変遷ー

2010年1月号の月刊誌「形成外科」の特集は眼瞼下垂症の治療戦略でした。
 

 
高齢者の人口が増加する日本において、加齢による腱膜性眼瞼下垂症の注目度が増加しています。
 
オンラインショップのAmazonで興味深い本を購入しました。
眼科のご高名な久保田先生(帝京大学眼科名誉教授)が書かれた眼瞼下垂の本です。

 
眼瞼下垂手術の歴史などとても興味深く読ませていただきました。
眼瞼挙筋前転術の経結膜法であるBlaskovics法から経皮法であるBerke法への変遷。
 
4,000例を超える著者の手術経験は大変説得力があります。著者は経皮法による眼瞼挙筋前転術がより優れていると述べています。
 
信州大学形成外科の先生よりご指導を受けた自分としては見解を異にする点もあります。
 
久保田先生は瞼板側(下側)よりアプローチして、眼瞼挙筋を眼窩脂肪から剥離します。
また原則として上眼瞼の皮膚は切除しないようです。
 
私も片側のみの眼瞼下垂症、軽度の腱膜性眼瞼下垂症にはこの術式を選択することがあります。手術侵襲が低いからです(下の写真、鑷子で保持しているのが挙筋腱膜です)。

 
 
ここからが今回のブログの本当の趣旨です。
 
私は重症の腱膜性眼瞼下垂症では眼窩隔膜を切り開き、眼窩隔膜と挙筋腱膜を一体として前転させます。私はこの術式をご指導して頂きました。
 
かなり重症の腱膜性眼瞼下垂症の症例を提示します。
眼窩隔膜と一体に前転した右側の挙筋腱膜です。透けて見えるくらい薄くなっています。

 
同じ患者さんの左側の挙筋腱膜です。

 
腱膜性眼瞼下垂症がひどいケースでは、挙筋腱膜が伸びきり上の写真のように薄く伸びきっています。
 
これ程までに薄くなった挙筋腱膜をあえて眼窩隔膜から剥離するのは、挙筋腱膜そのものを損傷させるリスクがあると思いませんか?
 
薄くなった挙筋腱膜だからこそ眼窩隔膜と一体化してより強い支持組織として瞼板に再固定するのが理にかなっていると、私は信じています。
 
他のメリットとして、眼窩隔膜の切開後に眼窩脂肪を前転することによりsunken eye(眼窩の陥凹)の改善が見込まれます。
 
また、余剰皮膚を切除することによりシャープな重瞼ラインを形成することができます。
腱膜性眼瞼下垂の手術を受ける人の多くは上眼瞼の皮膚がたるんでおり、重瞼ラインが乱れているものです(美容目的の方は自費で両側で262,500円となります)。
 
使用する手術器具も大切です。
挙筋腱膜を優しく扱うために、斜視鉤と鑷子はマイクロアドソンセッシを使用します。
ここまでこだわってこそ、正しい腱膜性眼瞼下垂手術ができるのです。

 
眼科と形成外科とでは眼瞼下垂症手術へのアプローチが異なる点もあります。
手術症例を重ねる中で、そのギャップを自分なりに埋めていきたいと思うこの頃です。
 
 
参考文献
形成外科 克誠堂 Vol.53  2010年1月号
「眼瞼下垂 」 文光堂 久保田伸枝


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