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粉瘤

粉瘤 くりぬき法 season 3

粉瘤のくりぬき法の問い合わせが増えています。
最近では滋賀県から患者さまが来られ手術しました。

はっきり言います。
くりぬき法はそれほど難しくないです!!
ちょっとしたコツをつかんで、症例を選べば大丈夫です。

くりぬき法は私のオリジナル技法ではありません。
東京慈恵医科大学附属病院皮膚科の上出良一(かみでりょういち)先生が最初に報告されたと記憶しています。

私のブログは結構、皮膚科の先生方にも読まれているようです。
くりぬき法を施行した日は手術室が粉瘤臭でもわ~っとします。

そこで臭い分けということで全国の皮膚科の先生がたにもくりぬき法を施行して頂きたいと切に思い、、再度くりぬき法について書く次第であります。

本音を言うと粉瘤ではなく、眼瞼下垂手術などセンスが要される手術に没頭したいのですが・・・
 
背部の粉瘤です。上方に発赤があるのが気になります。炎症で周囲と癒着があるとくりぬき法では完全に摘出できないことがあるのです。

 
このような症例ではまずエコー検査です。周囲組織との関係をくまなく観察しますが癒着を示唆するひきつれ像はありません。またエコー画像より粉瘤の局在は浅く真皮内に限局しているのが分かります。

 
4mmトレパンで発赤部をくり抜きます。

 
内容物を出します。なんとも言えない臭いがたちこめます。

 
ある程度、内容物が出し切るとCyst(嚢腫壁)が飛び出てきます。

 
Cystを周囲組織から丁寧に剥離します。ここが一番のポイントです。
Cystの一部をモスキートで保持し、眼科剪刃で鈍的に剥離すると上手くいきます。
この際に2倍のルーペを使うとCystの輪郭がよく分かります。私は必ずルーペを使用します。このちょっとした手間が手術成績を大きく左右します。

 
ぺしゃんこになったCystがきれいに出てきます。左側のセッシでつまんでいる部分が周囲組織(真皮)とCystの境界です。必ずCystの底を確認します。

 
もちろん、完全摘出です。

 
摘出後はCystの残存がないかをルーペで確認します。実はしんちゃん院長はかなりの心配性なのです(笑)。

 
ゲンタシン軟膏を患部に塗って手術終了です。おつかれさまでした。
翌日から入浴してもらいます。夏は化膿するから手術しないほうがよいと言われる大先生がいるそうです。全くナンセンスです。私は季節に関係なく一年中手術しています。
開業してから感染した症例は一例もありません。医学は進歩します。

 
病理組織検査で確認します。しっかりと取れているのが分かります。

 
他の症例です。粉瘤が小さいとくりぬき法で病変のみがすっぽりと取れます。
これはくり抜き法の極みですね。

 
すべての症例でくりぬき法ができる訳ではありません。
化膿して切開排膿されたことがある粉瘤はメスで切除したほうが無難です。
下の病理写真を見てください。切開排膿した後にメスで切除摘出しました。
Cystの周囲組織が瘢痕化しています。Cystと周囲組織が癒着するためくりぬき法では完全に取りきるのが困難です。症例の選択は重要です。

 
くりぬき法は決して難しくありません。皮膚科の先生、がんばりましょう!

粉瘤 くりぬき法 season 2

最近嬉しいことがありました。
それは粉瘤の手術を受けに京都から患者さまがいらっしゃったことです。
三重県、岐阜県からは比較的よくおいでになりますが京都のかたは初めてです。

左下顎にしこりがあり、商談などで相手の視線をしこりに感じるのがずっと気になっていたようです。

 
粉瘤の手術を受けたくてインターネットで評判のよさそうな病院を探していたところ皮ふ科SSクリニックにたどりついたそうです。まさに医者冥利に尽きます!

この程度の大きさの粉瘤であればメスによる切除摘出よりくりぬき法による摘出のほうが傷はずっときれいに治ります。
院長、この日は燃えに燃えました。燃えよ、しんちゃんです。あちょー
 
下の写真が皮ふ科SSクリニックの粉瘤くり抜きセットです。
注射の痛みを最小限に抑えるために29Gマイジェクターを使用しています(写真一番右)。

 
これがくりぬき法に用いる4mmトレパンです。3mmでは粉瘤の壁が上手く摘出できません。
4mmを使用するのがコツです。

 
4mmトレパンで粉瘤のヘソをくり抜きます。くり抜く角度も重要です。院長のゴールドフィンガーにかかればつまむだけで粉瘤の嚢腫壁が自分から飛び出してきます。

 
完全に摘出できたかどうかは術中の所見で見当が付きます。
嚢腫壁がきれいにポップアウトされています。これが本当のくりぬき法です。

 
嚢腫壁の底をルーペを用いて摘出します。完全に摘出しないと再発します。

 
摘出後の状態です。創は最終的にニキビ痕くらいの小さな傷となりほとんど目立ちません。

 
基本的に手術検体は全例を病理組織検査に提出しています。
病理標本でも嚢腫壁がしっかりと取れているのが確認できました。

 
1週間後に再診してもらいました。肉芽が十分に盛り上がりとてもいい状態でした。
わざわざ名古屋まで来た甲斐がありました、と何とも嬉しいお言葉を頂きました。
 
 
(ここからは平成21年10月4日に追加記載しました。)
別の患者さんです。右外眼角部のしこりがどんどん大きくなってきたとのこと。
腫瘤の中央部に黒いヘソがあり粉瘤であることが分かります。

 
この部位は顔面神経の側頭枝に気をつけなくてはいけません。
プロフェッショナルが行うと嚢腫壁がつるっと摘出できます。

 
手術して2週間後の状態です。肉芽が盛り上がり上皮化しています。
1年もするとキズはほとんど分からなくなります。

 
もし、自分の顔に粉瘤ができたらメスで大きくがばっと取るのではなく、くりぬき法で取ってほしいな・・・  名古屋の柴田先生に手術して欲しいな・・・  なんて(笑)。
 
粉瘤のくりぬき法は慣れない医師が行うと再発することもあります。
経験豊富な皮膚外科医の執刀を受けることをお勧めします。
 
皮ふ科SSクリニックでは粉瘤くりぬき法を数多く行っています。
(皮膚超音波診断などの術前検査、手術、病理組織検査を含めて全て保険診療でカバーしています

たかが粉瘤、されど粉瘤。

このブログで過去にルーペによる粉瘤のくりぬき法を紹介しました。
皮ふ科SSクリニックは個人クリニックとしては珍しいくらい紹介状を持参した患者さまが多く来院されます。最初は名古屋大学皮膚科の同門の皮膚科開業医の先生方からの紹介が多かったのですが、とくに最近は名古屋大学病院の他科の医師からの紹介、医師の家族、製薬メーカーさまなど病院関係者のかたが増えていますね。他の医療関係者からとても高い評価を頂いているものと素直に嬉しく思います。

さて今回は下顎に生じた粉瘤についてです。
この患者さまは名古屋大学病院の乳腺外科のドクターからの紹介です。

左下顎にしこりが主訴です。表面がなだらかに隆起しており淡青色に透見できます。
指で触ると境界はわりとはっきりとしています。臨床的に粉瘤(ふんりゅう)を疑いました。

数年前に他のクリニックで皮膚生検を受けており周囲組織との癒着が疑われます。このような症例ではくりぬき法ではなくメスによる切除法が安全です。

問題は切除デザインです。下顎の皮膚割線を利用して縦に切開するのが普通ですが術後の創が目立ちそうです。腫瘤からやや離れていますが切開線として下口唇の赤唇縁ラインを利用することを選択しました。

話はずれますが当院では顔面の手術に局所麻酔の針として29Gもしくは32Gの細い針を使用しています。これにより麻酔の痛みが最小限に抑えられます。保険診療でこんな割に合わないことしているのは皮ふ科SSクリニックだけですよ!

腫瘤はなんと筋層内(口輪筋~下唇下制筋)に局在していました。私も皮膚外科医として数多くの粉瘤を摘出してきましたが筋層内の粉瘤は珍しいです。

腫瘤(粉瘤)を筋層から丁寧に摘出、筋層をバイクリルと呼ばれる吸収糸で縫合します。

皮膚縫合は創部が目立ちにくい白ナイロンをあえて使いました。白ナイロンなら手術直後から傷が目立ちません。臨床診断、皮膚切開のデザイン、腫瘍の完全摘出、これらトータルな技量が皮膚外科医に要求されます。

病理組織検査の結果は粉瘤でした。
診察、手術、病理組織検査いずれも保険診療ですのでご安心ください。

手術の1週間後に抜糸をしました。抜糸直後の写真ですが腫脹も少なくこの段階ですでに傷もほとんどめだちません。 院長、相変わらずいい仕事していますね(笑)。

ちょっと愚痴を・・・。
現在の日本の医療制度では32Gの針もバイクリル糸、ナイロン糸も全て病院負担です。
特にバイクリル糸は値段が高いです。美容外科の手術に比べると本当に割りが合わないですよ。患者さまにやさしい治療をしようと思えば思うほど病院の負担は増えます。
しかし、こういう症例に逃げ出さずきちんと結果を出す皮膚科医(なんちゃって美容皮膚科さんは論外!!)が限りなく少ない以上、これも私の使命だと思い執刀しています。
すべては患者さまの笑顔のためです。

(写真は個人情報保護法に基づき患者さまより承諾を得ています。)


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