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皮膚腫瘍

脂肪腫 突然のFinal stage

あまり時間がありません。
 

眼瞼下垂手術&多血小板血漿療法(W-PRP)にもっと専念せねば、とあせっています。
 
脂肪腫は今回のブログで一区切りさせてください。
手術の上手な先生はたくさんいますので、まずは地元の先生に相談を!
 
最後ですので、皮膚切開についての私の考えを述べます。
 
右背中の脂肪腫です。わりと大きいです。
まずは2cm の皮膚切開をデザインしました。

 
脂肪腫を小さな皮膚切開で摘出するには指での剥離が不可欠です。
メッチェン(医療用のハサミ)では脂肪腫の表層は剥離できても、側方~下床は
なかなか剥離できないのです。
 
図で示すとこのような感じです(下手くそな絵ですみません)。
人差し指で脂肪腫を周囲組織からぐりぐりと剥離します。

 
私のひとさし指の太さが2cm弱です。

 
この症例では剥離しても腫瘍が飛び出てこないため、切開を1cm 伸ばします。

 
やっと出ました。下は僧帽筋と癒着していました。

 
全摘した脂肪腫です。このように全体として弾力性が強くぷりぷりとした脂肪腫は2cmの
穴からはなかなか飛び出てくれません。切開の長さは脂肪腫の性質にもよりますね。

 
 
もう一例、提示します。右肩の脂肪腫です。
有名な女流作家さんです。わざわざ東京から来られました。

 
けっこう大きいですね。
サルサをたしなんでおり邪魔なようです。
 
2cmの切開で取れるかな~?
大作家の利き腕です。なるべく傷は小さくしたいですね。

 
ひとさし指でぐりぐりして飛び出させます。

 
どっどっと飛び出てきました。
下床は三角筋と癒着していますが取れそうです。

 
一塊として脂肪腫が取れました。完全に取りきれば再発はありません。

 
自費診療の予想外の混雑で手術する時間が限られてきました。
最近は岐阜方面からの患者さんが目立ちます。
 
脂肪腫などの皮膚腫瘍はまずは地元の病院にかかってください。
そのうえで治療方針などが納得できなければSSクリニックへ来院してください。
 
紹介状を持参していただけるとちょっぴり有難いです。
高飛車な言い方で感じ悪くてすみませんです。

【石灰化上皮腫】 診断が大切!

ときどき遠方から患者さんが来られます。
 
広島県から来られた26歳の女性です。
左眉毛にしこりがあります。前医で粉瘤と診断されたそうです。

 
腫瘤は硬く触れ、粉瘤ではなく石灰化上皮腫を疑います。
石灰化上皮腫はトレパンによるくりぬき法は不適です。
4mmの穴では腫瘍が取れきれない、またくり抜きの刺激で検体がぼろぼろになって
しまうからです。
 
正確な診断があってこそ正しい皮膚腫瘍の治療が可能なのです。
 
不遜な言い方ですが、粉瘤と石灰化上皮腫を鑑別できる皮膚科医は10人に1人でしょう。
だからこそ皮膚外科学会の存在価値があるのです。
 
エコー検査です。 腫瘤の表面でエコーが強く反射され後方が無エコーとなっています。
石灰化上皮腫で矛盾しない所見です。

 
傷跡が目立たなくなるよう眉毛の下縁に沿っての切開でアプローチします。

 
白色の腫瘤です。きれいに取れましたね。

 
病理組織は好塩期性の小型円形細胞と好酸性に染まるshadow cell から構成される
石灰化上皮腫の所見です。

 
広島県ですと福山市の岩崎皮フ科形成外科がお勧めです。
院長の岩崎泰政先生は皮膚外科学会の評議員もしておられます。
 
全国に皮膚外科の輪が広がるといいですね。

脂肪腫 season 4  指がポイント!

左側腹部の脂肪腫です。
外科を受診しましたが、がばっと切るしかないと言われたそうです。
43歳の素敵なミセスです。できれば小さな傷で摘出したいですね。

 
まずはエコーで確認しましょう。
外腹斜筋と接していますが強い癒着はないようです。

 
こんな絵を書きました。エコー検査の補足です。

2cm ほど皮膚を切開します。切開創から指で剥離するのがポイントです。
指でぐりぐりと周囲から剥離していく。患者さんからはこそぐったいと言われました。

 
脂肪腫の底面が見えました。ここまで見えればOKです。あと少しです。
皮膚腫瘍は完全に摘出することが原則です。

 
もちろん外腹斜筋に損傷はありません。

 
きれいに取りきりました。 プロですから。

 
これだけ大きな脂肪腫がこの切開創なら合格点でしょうか。

 
真皮縫合して手術は終了です。

 
このタイプの脂肪腫は指での剥離がポイントだと思います。
 
いい手術をして患者さんに喜ばれる、これぞ医者冥利ですね。

脂肪腫 season 3 DEEP なやつ

前額の脂肪腫は深いです。
 
なぜか前頭筋の下で前頭骨の骨膜に接して局在しています。
 
おでこの脂肪腫摘出にはちょっとしたコツがあります。
それほど大したものではありませんが。
 
素敵なミセスの左前額のしこりです。こりこりとして気になるようです。

 
まずは皮膚エコーですね。
脂肪腫は粉瘤と比べると内部エコーが高いです。骨膜の上にmassが局在しています。

 
ここで「皮膚科診療プラクティス4 Day Surgery」分光堂から引用します。
 
前額のシワの方向(横方向)に沿ってメスをいれます。

前頭筋は縦方向に走行しているので、縦に筋層を切開します。

 
実際の手術写真です。脂肪腫に下から押されて前頭筋が膨れています。

 

縦に切開した前頭筋の間から脂肪腫を引きずり出します。骨膜からていねいに剥離するのがコツです。

 
摘出した脂肪腫です。

 
吸収糸で筋層を縫合、真皮縫合します。

 
術後13日目です。
左前額のキズがわかりますか?まだちょっと赤いですね。
もう少し時間がたてばほとんど目立たなくなると思います。

 
脂肪腫はキズが小さくなるようにsqueeze法(もみ出し)で摘出したいのですが。
前額の脂肪腫は筋層の下で骨膜とがっちりと癒着しているのでsqueeze法は無理です。
内視鏡で摘出する方法を形成外科の雑誌で読んだことがあります。
そこまではちょっとね・・・。
 
参考文献
「皮膚科診療プラクティス4 Day Surgery の実際」分光堂 p.275
23. 脂肪腫 田村敦志

脂肪腫 season 2

脂肪腫で当院を受診された患者さまからよく言われることがあります。
どの科を受診すればいいのか分からない。外科なのか整形外科なのか?
皮膚科で手術してくれるとは思わなかった・・・

私は勤務医時代から脂肪腫の手術も数多く手がけてきました。
その時の経験で感じたことがあります。
①脂肪腫は頭、後頚部、背、肩、下腹部、前腕によく見られる。その中でも肩、下腹部の脂肪腫は大きく育っていることがある。
②背部の脂肪腫を摘出すると肩こりの軽減を感じる人がいる。
③臨床的に脂肪腫と思っても病理組織検査で脂肪肉腫と診断されることがまれにある。

脂肪腫は良性腫瘍です。しかし大きくなると整容的に具合が悪いので肩、下腹部の脂肪腫は早期に摘出するようにしています。また皮膚科医として皮膚がん、肉腫(間葉系のがん)を見逃すことは許されないので全例を必ず病理組織検査に提出することにしています。

当院で最近経験した脂肪腫の治療を供覧します。脂肪腫の摘出術を受けたい患者さまに治療のイメージをお伝えすることができれば嬉しいです。
 
左鼡径部(股の付け根)の脂肪腫です。触ると柔らかい腫瘍です。

 
 
大きく切開して摘出するのが一般的です。しかし私は皮膚腫瘍のプロフェッショナルです。
傷を最小にすることをいつも心がけています。腫瘍の中央に11番メスで小切開を加え、揉みだして腫瘍を露出させてます。(上の写真と向きが違います)

 
 
摘出した検体です。なんともかわいらしい形ですね。

 
 
傷はわずか5mm程度です。創は何ミリまで縮小できるのか?
限界にチャレンジしたいですね。

 
 
真皮縫合を丁寧に行うので創はほとんど目立たなくなります。
手術の所要時間は15分くらいです。

 
 
左肩の脂肪腫です。かなり大きく手強い症例です。肩の脂肪腫は下の筋膜と癒着していることが多く切開を大きく取らざるを得ないです。しかし、本心では最小切開で摘出したい。特に肩関節付近は術後に創が瘢痕ケロイドとなりやすいのです。

 
 
このような症例で心強い武器が皮膚エコーです。LOGIQ Book XPの出番です。
脂肪腫の末梢側(肩関節と反対方向)は筋膜と癒着がなさそうです。
(黄色の矢印が筋膜です)

 
 
肩関節付近の脂肪腫は筋膜と癒着がありそうです。癒着があるかどうかは肩を動かしてもらい腫瘍と筋膜との引きつれの有無で判断します。黄色矢印の筋膜が引きつれています。
こうして術前のエコー検査で腫瘍の三次元的なイメージを頭にインプットします。

 
 
肩関節方向には傷を伸ばしたくないので腫瘍の中央部にのみ切開します。
周囲を揉むと脂肪腫が飛び出てきました。

 
 
ここからがポイントです。スーパーメッチェンで周囲を剥離します。出血しないようなるべく鈍的に剥離を進めます。

 
 
皮膚エコーの情報を参考にしながら腫瘍の底面を指で鈍的に剥離します。
この指での剥離はとても有効です。院長のゴールドフィンガーの出番です。

 
 
脂肪腫がどばっと出てきました。

 
 
露出した左肩の三角筋です。指で鈍的に剥離したため筋肉には損傷がありません。

 
 
ずいぶんと大きな脂肪腫ですね。これだけ大きいと病理組織検査で脂肪肉腫と鑑別することが大切です。今までは脂肪腫のためカッターシャツが着づらかったとのことです。
これでもう大丈夫です。 写真は脂肪腫の表側と裏側です。


 
 
腫瘍の治療で最も大切なことは腫瘍の完全摘出です。しかし皮ふ科SSクリニックには
それ以上のものが求められます。多くを求めて遠方から患者さまが来られるのですから。
先日は博多の方から問い合わせがありました。メジャーになってきました。
ちゃんとやらんとだメジャー。 はい、失礼しました。

 
 
ちなみにこの症例では手術の疼痛を軽減させるため点滴で鎮静剤(ドルミカムとソセゴン)を使用しています。サーフロ針、点滴のキットなど全て病院負担(いわゆる持ち出し)です。
愚痴ばかり言うなら自費診療しろ!! と言われそうですね。
やはり保険でできる手術は保険で行い患者さまの負担を減らしたいと考えています。
眼瞼下垂手術など特にそうです)
自分の社会的使命を認識して保険診療も行います(とりあえず3年は続ける予定です)。
みなさま、応援宜しくお願いします。


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