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診療だより

皮膚腫瘍の記事一覧

  • 粉瘤以外の皮膚腫瘍2 ー神経鞘腫ー

    2017-11-14 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

     
     粉瘤だけが皮膚腫瘍ではありません。
     
     今回は神経鞘腫を取り上げます。
     
     46歳の女性です。
     5年前より右眉毛付近のしこりに気づかれました。

     
     
     近くの皮膚科を受診して粉瘤(アテローマ)と言われたそうです。
     不信に思い、当院をネット検索して受診されました。
     
     右眉毛部腫瘍のエコー画像です(LOGIQ社 22MHz)。
     黒く描出される円形の腫瘍の右端から神経が伸びています。
     
     
     
     腫瘤は硬く触れ、触診の段階での鑑別診断は皮膚混合腫瘍、神経鞘腫です。
     エコー画像より神経鞘腫を第一に疑います。
     
     
     皮膚腫瘍の手術では切除デザインが大切です。センスが問われます。
     傷が眉毛のラインで目立たなくなるようにデザインしました。
     
     
     
     腫瘍は深く、眼輪筋を切開してようやく露出しました。
     腫瘍の端から神経が連続しています。
     
     
     
     吸収糸で眼輪筋を縫合、真皮縫合してから皮膚縫合します。
     数ヶ月すれば傷はかなり目立たなくなります。
     
     
     
     摘出した検体です。きれいに取れていますね。

     
     
     病理組織検査です。紡錘形の腫瘍細胞が増生。
    palisading pattern を形成しています。神経鞘腫Schwannomaです。

     
     
     私のブログの影響でしょうか、
     粉瘤のくり抜き法を行う整形外科医が増えてきました。
     
     今回の神経鞘腫もいきなりくり抜き法を行うのでしょうか?
     あ~、恐いこわい。
     
     皮膚腫瘍のプロフェッショナルは皮膚外科医であることを強調したいです。

  • 粉瘤以外の皮膚腫瘍1 -血管平滑筋腫-

    2017-10-13 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

     
     
     顔に生じる頻度が高い皮膚腫瘍の1つが粉瘤です。
     
     顔に膨らみがある腫瘍を何でもかんでも粉瘤と診断する医師が
     多いのも事実ですが、それはよくありません。
     
     私たち皮膚外科医は腫瘍を触ることでおおよその診断をつけます。
     それから皮膚超音波診断(エコー検査)を行い、さらに診断をしぼりこみます。
     
     粉瘤以外の皮膚腫瘍をシリーズとしてブログに書いていく予定です。
     
     49歳の女性です。
     1年前より左上口部のしこりに気づかれました。
     
     近くの皮膚科を受診。様子を見るように言われたそうです。
     心配になり別の皮膚科を受診。当院を紹介されました。
     
     左上口部に皮下腫瘤を触れます。(青い線は手術で切開するデザインです)

     
     
     エコー検査です。内部エコーは等エコーです。粉瘤以外の腫瘍を考えます。

     
     
     粉瘤以外の充実性腫瘤と診断しました。
     くり抜き法で治療することはできません。
     
     青くデザインされた線をメスで切開して腫瘤を摘出します。
     腫瘤はぽろりと出てきました。

     
     
     摘出した検体です。

     
     
     病理組織検査です。

     
     血管腔、平滑筋細胞の増生があります。血管平滑筋腫Angiomyoma の像です。

     
     
     手術1週間後の所見です。

     
     
     今回の手術のポイントは、
     ①上口部の腫瘤が粉瘤ではないことを読み取ること。
     ②手術の切開線を口唇縁に一致させること。
     
     腫瘤は完全に摘出できているので再発することはありません。
     傷も口唇縁に一致しているので目立ちません。
     
     皮膚腫瘍は鑑別診断できる皮膚科医に相談することをお勧めします。

  • それは粉瘤ではない! -皮膚混合腫瘍-

    2014-10-06 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    他院で粉瘤と診断されて、当院を受診される患者さんが少なからず来られます。

    石灰化上皮腫、皮膚線維腫、皮膚混合腫瘍、耳下腺腫瘍、リンパ節、せつ、・・・

    いずれも他院で粉瘤と診断された疾患です。

    皮膚腫瘍の中で最も遭遇する頻度が高いのは粉瘤です。
    だからといって、膨らんでいる腫瘍をすべて粉瘤と診断するのはいかがなものでしょう?

    皮膚腫瘍の鑑別診断が難しいのは事実です。

    今回ブログに協力頂いたのは56歳の男性です。
    鼻にしこりが生じ、大きくなってきました。

     

    触った感じは粉瘤よりずっと硬いです。
    触診、生じた部位から皮膚混合腫瘍などを考えました。

    エコー所見も粉瘤の像ではありません。充実性の腫瘍を疑います。

     

    粉瘤ではないので、くりぬき法はできません。

    鼻のラインを考え、紡錘形にデザインします。

     

    腫瘍にメスが入り込まないように、ていねいに執刀します。
    一塊として腫瘍を摘出することが肝要です。

     

    皮膚をつけてきれいに摘出できました。

     

    【病理組織検査】 皮膚混合腫瘍の像です。
    薄い被膜をつけて全摘できています。

     

    【病理組織検査 拡大】
    上皮系、間葉系、さまざまな細胞から成ります。

     

    鼻が変形しないように縫合します。

     

    今回、私が言いたかったことは、皮膚腫瘍の種類によって術式が変わることです。

    なんでもかんでも粉瘤と診断するのは品がありません。

    エコー検査を行うと診断精度がぐんと上がります。

    皮膚のできものは皮膚外科クリニックがお勧めです。

  • 耳のできもの -軟毛嚢腫-

    2014-07-11 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    皮膚腫瘍はさまざまな物があります。

    私も診断に苦慮することがあります。

    今回は、20歳男性の耳介後部に発生した腫瘍です。
    ブログに協力していただき、ありがとうございます。

    左耳介後部の青く透けるやわらかい腫瘍です。
    10年くらい前よりあるとのこと。

     

    高校生の時に、耳鼻咽喉科で針でつかれ、黄色の透明内容液が
    出たそうです。

    う~む、これは難しいです。

    リンパ管腫などを疑いました。

    耳介つけ根のラインをしっかりとマーキングします。

     

    単純縫縮させたいので、切除する皮膚はなるべく少なくします。
    薄い被膜をもつゲル状の塊が見えました。

     

    しっかりと摘出します。

     

    さて、縫えるのか?

    きれいに縫合しました。

     

    切除した検体です。わかりづらいですが、複数の毛が入っています。

     

    病理組織検査です。さあ、なんでしょう?

     

    袋の中にたくさんの毛があります。

     

    軟毛嚢腫(vellus hair cyst)の所見です。

    皮膚腫瘍はたくさんの種類があります。全身のどこにでも生じます。
    私はどの部位でも執刀します。

    今回は、私も術前診断に悩みました。

    もっと診断能力を高めないといけませんね。

    手術をうけた20歳のヤングボーイはすっきりとしたと、とても
    喜ばれていました。

  • 皮膚線維腫 -dermatofibroma-

    2014-06-29 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    臀部、下肢に生じやすい硬いしこり。

    皮膚科でホクロと言われたり、粉瘤と診断されます。

    見て、触れば診断は簡単なんですけどね。

    皮膚線維腫を診断できる皮膚科医はあんがい少ないようです。

    今回もブログに協力いただき、ありがとうございます。

    45歳の女性です。
    数年前より左下腿に褐色のしこりが出現しました。

     

    ダーモスコピー診断です。
    全体がうろこ状で中央は黄色。辺縁は褐色網目状(pigment network)です。

     

    ダーモスコピー画像からも、ホクロ、粉瘤と異なるのは一目瞭然です。

    良性腫瘍ですので、放置してよいです。
    ときに圧痛、掻痒があり、治療を希望されることがあります。

    レーザー治療は不適当であり、メスでの切除がよいです。

    このように皮膚の緊張が少ない方向に紡錘形に切除します。

     

    抜糸直前です。

     

    しばらくテーピングして創の緊張を軽減させます。
    お疲れさまでした。

     

    ここからが、本題です。

    なぜレーザー治療が不適当か?

    答えは病理組織検査にあります。

    このかたの病理組織検査です。
    皮膚線維腫を構成する細胞が、脂肪組織まで及んでいます。

     

    しばらく病理の世界へ。

    表皮突起が延長、基底層に色素沈着があります。

     

    皮膚線維腫は紡錘形細胞より構成されます。細胞密度が高いですね。

     

    脂肪組織まで浸潤しています。

     

    皮膚線維腫は脂肪組織まで浸潤・増生していることが多いです。

    レーザーで腫瘍細胞を取りきろうとすると、真皮の全層欠損を生じます。
    瘢痕になることは必発です。

    皮膚線維腫は何もせずに放置するか、メスによる切除がよいと思います。

    ケナコルト(ステロイド)を局所注射して、隆起が改善したケースもありますが、
    十分なエビデンスがありません。

    皮膚線維腫をしっかりと診断できる皮膚科医に見てもらうことが大切ですね。

  • 汗管腫 -やっかいなぷつぷつ-

    2014-06-19 UP!     カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 皮膚腫瘍

    眼のまわりにできる白いぷつぷつ。

    女性に多いです。

    気になって皮膚科を受診しますが、
    放って置くしかしょうがない、と言われてお終いです。

    汗管腫( Syringoma )は確かに治療が難しい。

    私ですら、そのように思います。

    根治は難しいかもしれませんが、目立たなくすることは可能です。

    ブログに協力して頂いた患者さんの治療経過を見ながら、
    当院の治療についてお話します。

    今回は話が長くなりますが、最後までお付き合い下さい。

    36歳の男性です。下眼瞼を中心に白色の丘疹が多発しています。

     

    写真は右眼ですが、左眼にもプツプツはあります。
    毎朝、顔を見るたびに、とても気になるそうです。

    汗管腫は女性の眼瞼に好発する小丘疹、エクリン汗管の限局性増殖です。
    (皮膚科学 第9版 金芳堂より)

    以前は炭酸ガスレーザーで丘疹を一つずつ焼灼していました。
    熱エネルギーが蓄熱してしまい、治療後に瘢痕を生じることがあります。

     

    汗管腫は腫瘍の深さが人によって異なります。
    腫瘍の深さを確認することが大切と考えるようになりました。

    2mm トレパンで生検して、病理組織検査で深さを確認します。
    7-0 ナイロンで一針縫合するので、傷は目立ちません。

    36歳男性の右下眼瞼より1つ、皮膚生検しました。

     

    一番下のピンク色の細長い塊が眼輪筋です。
    その上にエクリン汗器官の分泌部があります。

    汗管腫の腫瘍細胞は真皮浅層(乳頭下層)に限局しています。

    汗管腫のどんな顔つきをしているか?

    索状物、丸い房構造、ドーナツ状構造(中に分泌物)といろいろです。

     

    汗管腫の丘疹1つにこれだけの細胞があります。
    汗管腫の治療が難しいのは、これだけの細胞を間引かなくてはならないことです。

     

    ホクロのレーザー治療が、母斑細胞すべてを消滅させなくともそこそこの結果になります。

    汗管腫の治療も細胞をある程度間引きすれば外観上は目立たなくなります。
    ただし、将来的な再発の問題は残ります。

    無理をして瘢痕を残すほど照射するよりは、傷が残さないように気をつけ、そこそこ
    目立たなくすることを私は目指しています。

    なにを用いるか?

    エルビウムヤグレーザーでしょう。組織ダメージが少ないからです。

     

    茄子を照射したところです。蓄熱せずに組織が蒸散するので、照射部位どうしの干渉が
    ありません。このことは、丘疹が密に増生する汗管腫の治療に最適です。

     

    エルビウムヤグレーザーで汗管腫を照射したところです。

     

    この方は皮膚生検で汗管腫は浅いところに限局していたので、浅く照射しました。
    通常はもう少し深く照射します。

    照射5日後です。治療して2週間は厳重に閉鎖療法をお願いします。

     

    汗管腫の治療は、治療する医療サイドも患者さんも本気の覚悟が必要です。

    照射して1ヶ月が経過しました。淡いピンク色が残りますが、いづれ消退します。

     

    治療前です。

     

    当院の汗管腫の治療戦略をまとめると、
    ①皮膚生検で汗管腫の深さを確認する。
    ②病理組織検査の結果を参照にエルビウムヤグレーザーで照射する。
    ③10日~2週間の閉鎖療法を行う。
    *治療は片側ずつ行うことが多いです。

    いずれ、もっときれいに仕上がった症例をブログで登場させます。
    乞うご期待!

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