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しみ(ルビーレーザー)

このシミはどうする?

60歳の女性です。シミの相談です。
左頬部に大きな色素斑が2つあります。まだらな色調なのが気になります。

 
3年前にnotoriousなBZクリニックでレーザー治療を受けたそうです。
いったんはきれいになったがすぐにシミが戻った、とのこと。
 
美容外科でのレーザー治療ですとQスイッチYAGレーザーでしょうかね。
 
いったんはきれいになった?
と、すると炎症後色素沈着後が遷延しているのでしょうか?
通常は半年以内で消退します。こんなに遷延することはありません。
 
もしこの患者さんが他院で治療を受けた直後ならば、最低半年間は経過観察とします。
しかし3年が経っているのです。
 
色素斑がまだらな色調を呈していることから察すると、適切なレーザー照射をされていない可能性が大です。このまだらな照射はちょっとひどいですね。
 
私は一つの色素斑でもIWP(直後の白色変化)を確認しながら、照射エネルギーを調整しながら照射します。レーザー治療も術者のテクニックが必要なのですよ!
 
迷わず、最強のQスイッチルビーレーザーを照射します。
 
照射11日後です。痂皮がぺろりと取れました。

 
とりあえず、外側の色素斑のみ照射しました。痂皮がとれた状態です。
とてもきれいになっていますが、まだちょっぴり赤いですね。

 
照射2ヶ月10日後です。
炎症後色素沈着は出現していません。とてもいい状態です。

 
照射3ヶ月後です。この時期に炎症後色素沈着が出現していなければもう大丈夫です。
本当にきれいなりましたね。ちょっと本人もびっくりしたみたいですよ。
最後までフォローしない先生が多いですからね~。

 
なんだか、残った内側の色素斑が目立ってしまいますね。
いずれこちらも治療しましょう。
 
やはりルビーレーザーはヤグ(YAG)、アレキサンドライトとは切れ味が違うようです。
 
The Ruby Z-1、惚れたぜお前に。

ADM (両側性遅発性太田母斑様色素斑)の正しい治療

ADM ( acquired dermal melanocytosis )

日本語では両側性遅発性太田母斑様色素斑、後天性真皮メラノサイトーシスなどと呼ばれています。20歳ころから両頬、おでこ、目の下などに出現する褐色~グレイっぽいシミです。

シミというよりアザが正確な表現かもしれません。

この疾患には反省すべき思い出があります。

私が虎の門病院で皮膚外科の修行をしていた時(2010年)のことです。
20代のきれいな女性が外来に初診で来られました。
主訴は両頬部のうすいグレイの色素斑です(やや記憶が不明瞭です)。
 
その頃の私はADMという疾患に対する知識がありませんでした。
若くして出現した肝斑かな~と思い、ビタミンCを処方しようとしたところ、
患者さんから「これは両側性遅発性太田母斑様色素斑と思われるのでレーザー治療して欲しい」といわれました。そんな病気があるんかいな~と訝しがりながらも、患者さんに言われるがままアレキサンドライトレーザー治療の予約を入れました。
 
虎の門の外来カンファレンスにて、この患者さんのスライド写真を見て、大原國章先生はきっぱりと両側性遅発性太田母斑様色素斑と診断されました。
私は患者さんから教えていただくという、全く不甲斐ない医師でした。

それにしても皮膚外科で日本一の手術を行いながら、シミ、アザ治療にまで造詣の深い
大原先生は本当に凄いお方だと、今さらながら感じ入ります。

その頃から10年がたちます。
そんな私も今ではADMも含めたアザ治療も精力的に行っています。
 
患者さんからブログ写真の協力が得られましたので、合併症を含めて供覧します。
 
62歳の女性です。
両側の頬部に左右対称性に存在する小さな斑状の褐色斑です。色素斑の分布と融合傾向がないこと、さらには年齢から肝斑ではなくADMと診断しました。

 
褐色斑はややグレーに見える部位もありますね。毛細血管の拡張も目立ちます。

 
ADM以外にも頬部の外側には老人性色素斑も混在しているのが分かります。
この年代の女性はいくつもの異なる病態の色素斑を併発しているもです。

 
ダーモスコピー(10倍の拡大鏡)の写真です。
いつも思うのです。ADMも太田母斑のように真皮メラノサイトーシスが疾患の本態です。
それのなにどうして青色ではなく褐色のことが多いのでしょう?
太田母斑にくらべると、増加した真皮のメラノサイトが浅いのでしょうか?
いまだに答えが分かりません。誰か教えて下さい。

 
下の図はメラニンが局在する深さによってどのような色調に見えるかを示したものです。
メラニンが深くなるにつれて褐色→グレイ→青 に見えます。

「An Atlas of Surface Microscopy of Pigmented Skin Lesion」より引用
 
Qスイッチルビーレーザー照射、11日後です。照射部が脱色素斑となっています。

 
照射1ヶ月後です。炎症後色素沈着を併発しています。
薄くなったり、濃くなったりまったくせわしないですね。患者さんとの信頼関係が大切です。

 
照射6ヵ月後です。
合併症も治まり、かなりうすくなりました。


 
反対側の写真です。現時点での患者さんの満足度は80% くらいかな。

 
第250回 東海地方会(平成21年12月)でもADMの演題がありました。その内容を下にまとめました。
 
●ADM治療は脱色素斑、炎症後色素沈着を生じやすい。
●IWP(照射直後の白色変化)が生じる最小出力での照射が望ましい。
●治療間隔は6ヶ月はあけたほうがよい。
●治療の平均回数は3~4回である。
 
1回の治療でここまで改善したらまずまずではないでしょうか。
 
それにしてもThe Ruby Z-1は凄いやつです。
 
 
参考文献
Aesthtetic Dermatology  Vol.19. No 4 December 2009
「対称性真皮メラノーシスの臨床と発症病態」村上喜美子、溝口昌子

Qスイッチルビーレーザー 【炎症後色素沈着後を超えて】

頬部にできた10円玉大のシミ、うっとうしいですね。
 
これは老人性色素斑(日光黒子)と呼ばれるシミです。
病理組織学的には表皮基底層にメラニンが増加しています。高齢者では表皮肥厚や真皮にもメラニンの滴落が見られることがあります。
 
私は老人性色素斑にQスイッチルビーレーザー(JMEC社 The Ruby Z1)を用いて治療しています。老人性色素斑にはルビーレーザーが最も切れ味がよいと確信しています。

 
 
レーザー照射すればその瞬間に魔法のようにシミがなくなる、と思って来院される方もいられます。今回はあえてその合併症である炎症後色素沈着後についてお話します。
 
以前にもこのブログに登場してた61歳の男性です。

 
レーザー照射11日後です。シミはきれいになくなっています。エクセレント!

 
照射28日後です。また濃くなっています。患者さんはがっかりしています。

 
この現象がレーザー治療の最大の合併症である炎症後色素沈着です。
研究会の統計などではQスイッチレーザーによる色素病変治療の約40%に炎症後色素沈着が発生するとされています。
 
照射約2ヶ月後です。また薄くなってきているのが分かりますか?

 
照射約3ヶ月後です。かなり目立たなくなってきました(現在はもっと薄くなっていることでしょう)。Mさん、また受診してくださいね(笑)。

 
炎症後色素沈着は消退するのです(成書では顔で6ヶ月以内に消退すると記載されています)。 しかし、できれば生じさせたくないですよね。
 
日本美容皮膚科学会雑誌 2009年8月号に興味深い演題が載っています。
東京女子医科大学付属青山女性医療研究所美容医療科の根岸 圭先生の演題です。
 
Qスイッチレーザーを照射直後の白色変化(IWP)が生じる最小出力で照射した群とより強い出力で照射した群を比較しています。
 
炎症後色素沈着の頻度は前者で8 %、後者で34 %と大きな差がでています。
 
レーザー照射は出力を抑えて照射したほうが炎症後色素沈着が生じないのです。
ただし白色変化(IWP)が出ないほど出力を抑えるとシミは薄くなりません。
 
このさじ加減が大切なのです。私は毎日、このさじ加減と格闘しています。
 
ちなみに写真の患者さんは最小出力の4J/cm2で照射しています。
それでも炎症後色素沈着が出てしまう人はいるのです。
フィッツ・パトリック(アメリカの皮膚科の大先生)のスキンタイプが関係しているのかもしれません。
 
他にも炎症後色素沈着を予防する手段として、照射部への10日間テーピング密封療法、痂皮がはがれた後のハイドロキノン軟膏外用を行っています。
 
(PLUS RESTORE NANO HQクリーム フラーレン配合です。クリニックで愛用しています。)

 
統計は取っていませんが、当院での炎症後色素沈着の発生率は10%以下でしょうか。
しみ治療はレーザーを照射するだけの単純な治療ではないのです。
 
しみ治療に対してポリシーがあり、しっかりとアフターフォローするクリニックを選ばれるのがよいと思います。
 
 
参考文献
日本美容皮膚科学会雑誌 2009. Vol 19 No.3
シミの治療  葛西健一郎 文光堂
Qスイッチルビーレーザー治療入門  葛西健一郎 文光堂

Qスイッチルビーレーザー 【実際の施術】

今回はQスイッチルビーレーザーの実際の施術についてです。
前回のブログでも書いたように老人性色素斑(しみ)に最も有効な治療はQスイッチルビーレーザー治療です。アメリカでは大企業のCEOたちはこぞって肌の若返り治療を受けています。美容大国アメリカでは若く見えることがステータスでもあるのです。
皮ふ科SSクリニックでも男性でしみ治療を希望されるかたが増えています。
 
 
61歳の男性のかたです。以前より右頬部のしみが気になっていたとのことです。
しみは中央部がやや厚くなっています。老人性色素斑の一部が脂漏性角化症に進行した臨床像です。このタイプのしみはフォトフェイシャルでは治りません。

 
 
THE RUBY Z1(Qスイッチルビーレーザー)の出番です!
しみは濃いので最低出力の4Jで照射しました。これでも十分IWP(Immediate Whitening Phenomenon)と呼ばれる白くなる現象が出現します。

 
 

照射後は軟膏を外用して医療用テープを貼ります。原則として10日間テープはつけたままです。施術後のPIH(炎症後色素沈着)を予防するためです。

 
 
今回は照射5日後に来院してもらいテープを交換しました。照射部が痂皮(かさぶた)なっているのが分かりますか? この段階では痂皮は絶対に剥がしてはいけません!!

 
 
さあ、いよいよ10日目が来ました。テープを取るこの瞬間がとても楽しみです。
しみが痂皮となりテープといっしょに剥ぎ取られていきます。

 
 
しみは見事に取れました!エクセレント!!
この時期はやや発赤がありますが時間とともに落ち着いていきます。
このようにレーザー治療は適正な照射モード、照射後のケアが揃って完結するのです。

 
 
レーザー治療は痛くないですかとの質問をよく受けます。輪ゴムで肌を軽くはじく感じですね。私は患部をアイスキューブ(氷)で冷却してからレーザー照射しています。これにより施術の痛みは最小限に抑えられます。葛西健一郎先生のアイデアです。

 
 
皮ふ科SSクリニックの冷凍庫には常時アイスキューブがたくさん用意してあります。
スタッフが一生懸命作ってくれるのです。

 
 
皮ふ科SSクリニックはしみ治療に本気で取り組んでいます。
 
しみでお困りの方はお気軽に皮ふ科SSクリニックにお電話ください。
最後まで責任を持ってフォローさせて頂きます。

【しみの治療】 Qスイッチルビーレーザー

私がこだわっている治療の一つがしみ治療です。
 
しみと言ってもたくさんの種類があります。
老人性色素斑(日光黒子)、雀卵斑、肝斑、太田母斑、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)、外傷性刺青、炎症後色素沈着などなど。

この中でも治療頻度の高い疾患は老人性色素斑です。
このしみ(老人性色素斑)治療のゴールデンスタンダードはQスイッチレーザーです。

ちょいと小難しい話をします。
Qスイッチとはレーザー共振器に特殊なシャッターを取り付けることにより光エネルギーを
十分に蓄積して、瞬間的にパルス幅の狭い大出力のレーザー光を照射するものです。
この方法により通常はms(ミリセカンド:10-3秒)程度のパルス幅を、数十ns(ナノセカンド:10-9)まで短縮することができます。
 
パルス幅の短い大出力のレーザーを照射することにより周辺正常組織へのダメージが少なく、変性や瘢痕を形成せずにしみのみを有効に治療できるのです。

医療用Qスイッチレーザーとしては、Qスイッチルビーレーザー(QSRL)のほかに、Qスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)、QスイッチNd:YAGレーザー(QSYL)があります。
 
波長の長さはQSYL(1064)>QSAL(755)>QSRL(694)>QSYL(532)の順です。
ルビーの694nmという波長がメラニンの吸収率が最も高いです
 
照射時間はQSYL(10ns)<QSRL(20ns)<QSAL(50~100ns)の順に短いです。

しみ治療において日本で最も有名な葛西健一郎先生(葛西形成外科 院長)は真皮メラノサイトや刺青粒子を破壊するにはQSRLの20nsくらいが「ちょうどよい」のではないかと述べられています。波長だけではなく照射時間も重要なファクターなのです。
 
その他の重要なポイントとして「実用フルエンスにおけるスポットサイズ」を指摘しています。
スポットサイズはある程度大きいほうがよいのです。
 
 
第59回日本皮膚科学会中部支部学術学会にて葛西先生と(右端の大きな先生です)。
しみ治療に関して葛西先生から実に多くのことを学ばせてもらいました。
 
 
前置きが長すぎました。
私はQスイッチルビーレーザー(JMEC社 The Ruby Z1を購入しました。
波長694nm、パルス幅20ns、スポットサイズ6mmとすべてがしみ治療に理想的です。
 
ルビー、アレキサンドライト、YAGといくつも使用した経験を踏まえての最終判断です。
スタッフもルビーレーザーの切れ味のよさに興奮しています(笑)

 
 
ルビーレーザーは他のQスイッチレーザーよりデリケートな機器でありメンテナンス費用などもかさみます。美容外科の先生がたの多くはQスイッチYAGレーザーを使用しています。
 
私は真面目な皮膚科医です。コストが高くなってもしっかりと結果を出す治療を提供したい。
 
The Ruby Z1は厚労省の薬事承認が取れています。いわゆる‘しみ’は自費診療になりますが、太田母斑、扁平母斑、異所性蒙古斑、外傷性刺青などは保険診療が可能です。
 
しみ治療、そろそろ本気で考えませんか?
 
 
参考文献
しみの治療  葛西健一郎 文光堂
Qスイッチルビーレーザー治療入門  葛西健一郎 文光堂
Visual Dermatology 【しみはどこまできれいになるか?その理論と実際 治療法編】
2005年8月号 秀潤社
皮膚科診療プラクティス 17 Rejuvenationの実際  文光堂
若返り美容医療の実際 永井書店  編集 窪田潤一郎 永井書店


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