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診療だより

眼瞼下垂

  • 眼瞼下垂手術 -理論と実践-

    2012-12-27 UP!     カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより

    今回も強烈な写真がでます。苦手な人はご注意を!
     
    信州大学式眼瞼下垂手術の名医、北澤 健先生と会食する機会に恵まれました。
    夕方6時30分にお会いして閉店11までよもやまの話で盛り上がりました。
     
    話の中心は自然と眼瞼下垂手術になってしまいます。4時間くらい話しました。
    完全に職業病ですね(笑)。
     
    信州大学方式以外に挙筋腱膜裏面を結膜から剥がして前転する方式が眼科領域
    ではポピュラーです。
     
    この術式を行っている先生から挙筋腱膜を剥がさないのにどうして眼瞼が開大する
    のか不思議だと質問を受けたことがあります。
     
    今回はこのあたりのついて触れます。
     
    下の図は眼瞼の構造です。
    眼瞼挙筋は瞼板に接合しています。その接合はデリケートであり緩いため、あそびが
    あります。
    (開瞼・閉瞼のメカニズムと重瞼線 松田 健 形成外科 2012 Vol.55 より引用)
     


     
     
    信州大学方式の眼瞼下垂手術です。開いた眼窩隔膜と挙筋腱膜を瞼板に再固定
    します。これによりあそび、もしくは緩みがなくなり眼瞼が開大しやすくなります。
     

     
     
    実際の手術所見です。挙筋腱膜を前方へスライドしてあそびを絞めます。

     
     
    この理屈からすると眼の開きがかなり低下した人は挙筋腱膜を結膜から
    剥離して前転する従来の術式のほうがよいかもしれません。
     
    この点は今後も眼科(眼形成外科)の先生とディスカッションしていく予定です。
     
     
    眼瞼下垂手術についてもう一点気になることがあります。
     
    挙筋腱膜を瞼板に固定する糸は2針か3針か?
     
    最初は3針固定していました。下の写真は右眼です。
    MRDの中心に1針、そしてその周囲にバランスよく2針固定。

     
     
    北澤先生からアドバイスを受けてから2針固定を行っています。
    下の写真は私の左眼です。やや内側に2針固定されています。

     
     
    なぜ北澤先生が3針から2針固定に移行したのか?
     
    眼球は瞼板で覆われています。眼球は丸いです。
    瞼板も眼球のように弧をえがきます。
     
    弧をえがく瞼板に挙筋腱膜がデリケートに接合します。
     
    3針で固定するとその部分は面になります。
    2針で固定すると面ではないためより自由度を確保することが可能です。
     
    瞼板ー挙筋腱膜というデリケートな領域にはある程度の自由度があった
    ほうが良いのかもしれません。
     
    挙筋腱膜のあそびをなくす手術なのに自由度が必要。
    矛盾しているようにも思えます。
     
    縦方向(眼が開く方向)のあそびはなくすが、横方向の自由度は残した
    ほうがよいのでしょう。
     
    理論と実践のはざまで揺れるまなざし。
     
    最後に北澤先生のお言葉です。
    「眼瞼下垂手術は1,000例超すとまた違う感覚が分かってくるんですよ。
    でも1,000例を超えたいまでも手術を極めたという境地には達していません。」
     
    私が1,000例越すのはいつの日でしょうか・・・。
    果てしない道を一歩一歩登っていく所存でございます。

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