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診療だより

皮膚腫瘍

  • 脂肪腫 -切開線と経過-

    2014-04-20 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    皮膚腫瘍の切開線について、尊敬するK先生にアドバイスを
    頂いたことがあります。

    手術の切開線についてまとめました。

    ブログに協力頂いた患者さんに、心より感謝いたします。

    53歳の女性です。右肩のできものが大きくなってきました。

     

    これは育てましたね。服の上からでも目立つようです。

    エコー検査です。上下の矢印の範囲が腫瘍です。レンズ型の iso density mass。
    脂肪腫の所見です。点線が下床ですが、筋膜と癒着しています。

     

    脂肪腫も良性腫瘍ですので、自然消退することはありません。
    少しずつ大きく育ちます。

    大きな脂肪腫の場合、肩こりを訴えることも珍しくないです。

    気になるようならば、私は手術をお勧めします。

    脂肪腫に限らず、皮膚腫瘍は切開デザインが重要です。

    このように切開された創をみかけることがあります。

     

    日常生活の動きでねじれるせいか、たいていは創が広く目立ちます。

    まだ、この切開のほうが、よいのではないでしょうか?

     

    このようにS字型に曲線を描くようなデザインは lazy S 切開と呼ばれます。
    私もこのような切開デザインを習ったことがあります。

    其の利点として、

    ①観音開きのように皮弁が挙上できるので、術野が広がって操作しやすい。
    ②S字型の切開創は直線よりも緊張を分散するので、創が目立たなくなる。

    私の経験では、
    S状でもストレートでも術野の広がりに大差はない、むしろ創はS字のほうが
    よれるせいか、目立つことがある。

    私は皮膚の緊張が少なく、よじれが少ない方向へストレート切開します。
    腫瘍より、なるべく小さく切開するように心がけています。

     

    肩、背中の脂肪腫はたいてい、筋膜と癒着しています。

    スタン式モノポーラフォーセップで筋膜と剥離します。
    筋膜はperforator が多いので丁寧に止血します。

     

    筋膜の上で剥がし取りました。白~灰色に見えるのが筋膜です。

     

    一塊に摘出した脂肪腫です。わりと大きいです。

     

    真皮縫合をきっちりと合わせ、皮膚縫合します。
    縫合創の長さが脂肪腫より小さいのがわかりますか?

     

    手術して1週間、抜糸直後です。
    脂肪腫を取るのに、広く剥離するので紫斑が生じています。

     

    抜糸後からテーピング指導します。
    最低2ヶ月は、続けていただきます。

    創を目立たなくするのに、テーピングは大切です。

    手術1ヵ月後です。
    テーピンングの痕が長方形に見えます。創もかなり落ち着いてきました。

     

    傷をゼロにするのは不可能ですが、そこそこ目立たなくすることに
    こだわっています。

    女性の肩、背部はイブニングドレスなどで露出する部位ですから。
    きれいにしたいですね。

    脂肪腫の切開ラインと術後の管理、どちらも重要です。

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