美容医療コラム
~PRP・汗管腫・HIFU・眼瞼下垂 皮膚外科で強いドクターが監修~

  1. 顔全体をパーツで解説!
    PRP治療はどの部位に適応なの?
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顔全体をパーツで解説!
PRP治療はどの部位に適応なの?
顔全体をパーツで解説!<br>PRP治療はどの部位に適応なの?

PRP

2020.02.28

美容整形外科や美容クリニック、美容皮膚科などで受けることができるPRP治療。再生医療のひとつですが、短時間で手軽に受けられるとあって、顔のシワなどが気になる世代のエイジングケアとして人気を集めています。
最近、PRP治療のことを知った患者さまから「どのお悩みでもPRPで治療できるの?」「このシワはヒアルロン酸とPRPとどちらが良いの?」といった質問が寄せられるようになりました。PRP治療は自然な若返りを叶える素晴らしい治療ではありますが、実は、PRPの特性によって治療が向いていない部位もあります。
そこで今回のコラムでは、顔のパーツごとにPRP治療が適応かどうかを解説します。

  1. PRP療法とは
  2. 顔全体の加齢部位の適応
  3. ドクターコメント

PRP療法とは

PRP治療とは、人間の血液に含まれる血小板を使用して、肌の再生を図るエイジングケア治療です。正確には「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)」と呼ばれる、血小板を含む濃縮物です。患者さまの血液を採取して、遠心分離機によって本来の2〜7倍に濃縮したもので、細胞増殖などを促す成長因子が豊富に含まれています。
主に小ジワやほうれい線などの美容治療に使われますが、それ以外に発毛・増毛などの毛髪治療や、歯茎の再生治療、怪我や使いすぎで傷んでしまった靭帯の治療、すり減ったヒザ軟骨の再生治療(PRP関節内治療)など、美容目的以外にも多岐にわたって応用されています。
美容医療では、シワなどの年齢を重ねてできる加齢症状の治療目的で使用されることが多く、日本ではヒアルロン酸と人気を二分するほどメジャーな治療法です。PRPを注入した肌の内部では、成長因子などが線維芽細胞を刺激してコラーゲン生成が促進され、内側からふっくらとシワを押し上げられます。さらに肌が若い頃のように活性化して、ハリやツヤなども蘇ります。

顔全体の加齢部位の適応

額周辺

①額のシワや眉間の縦ジワ
額の横ジワや眉間の縦ジワは“表情ジワ”とも呼ばれ、筋肉を動かす時の癖で折りたたまれたシワになります。
このシワは、筋肉を弛緩させる薬剤をつかったボトックス注射の選択が一般的ですが、PRP治療も適応になります。ボトックス注射では、筋肉の弛緩により目が重たく見えてしまうケースがあり、PRP治療を選択する方も多くいらっしゃいます。

②髪の毛の生え際
女性に多いびまん性の薄毛で、生え際が後退してしまっているケースでは、生え際や頭皮全体にPRPを注入して育毛治療を行うことができます。
生え際の毛は細い毛が多く、PRP治療によって毛髪が太くなるため、毛の密度が高まり濃く見えるようになります。

目もと周辺

① 目尻の細かいシワ
笑ったときにできる目尻の表情ジワと、細かなちりめんジワはPRP治療が適しています。
目尻のシワは、ボトックス注射と併用することも可能です。ボトックス注射で取れない皮膚に刻み込まれているシワを、PRPでふっくらと押し上げていきます。

②こめかみの凹み
こめかみの凹みはある程度適応ですが、PRPを大量に使用するため、膨らみ方のコントロールが難しい場合もあります。どちらかというと、ヒアルロン酸のほうが適しています。

③ゴルゴライン
ゴルゴラインと呼ばれる目の下にできるシワは、PRP治療が適しています。

④目の下のクマ
目の下にあらわれるクマのなかでも、血管が透けて見える青グマや、眼輪筋という筋肉が透けて見える赤クマは、PRP治療で改善が望めます。PRPには皮膚のボリュームを厚くする作用があるため、下眼瞼に少量注入することで、皮膚が厚く・透けにくくなり、クマ解消につながります。

⑤目の下の凹み
繊細な目の下の凹みには、PRP治療が適応です。くぼんだ部分の組織を増やして改善を図ることができます。

頬~口もと周辺

①フェイスラインのたるみ
顔のたるみの一番大きな要因は、支持靭帯のゆるみです。そのためPRPを注入しても、あまり効果が期待できないでしょう。
フェイルラインのたるみには、糸で引き上げる治療や、HIFU治療などがおすすめです。

②ほうれい線・マリオネットライン
ほうれい線やマリオネットラインこそ、PRP治療が最適だと言えるでしょう。衰えた肌内部の組織を活性化して、個人差はありますが長期間ふっくらと深いシワを改善します。仕上がりも自然です。
さらにマリオネットラインやほうれい線の横に出る細かなシワも、当クリニックではとても良い結果が出ています。この部位はヒアルロン酸での治療は難しく、PRPでしか治療できない部位と言えるでしょう。

③頬の凹み
こめかみの凹みと同じく大量にPRPを注入するため、膨らみ方が予想できず、PRPでの治療は難しいと言えるでしょう。
ほうれい線などの溝をふっくらさせる治療は適していますが、全体のボリュームをつける治療では脂肪注入やレディエッセ(硬さのあるジェル状の薬剤)のほうが向いています。

④鼻の下の細かいシワ
ボトックス注射が適応です。鼻の下はあまり脂肪組織がなく、皮膚のすぐ下は口輪筋という筋肉になります。PRPは局所の組織を増やす作用があるため、筋肉が増成してしまい、仕上がりが悪くなります。ここはPRP治療は避けたほうが良いでしょう。

あご~首

①二重あご
二重あごは、脂肪溶解注射やHIFUのほうが適応です。PRP治療では効果が期待できません。

②首のシワ
PRP治療を行って、良い結果が出ています。効果が出る時間も長く、自然に首のシワが目立たなくなります。

その他

①毛穴
目立つ毛穴を小さくするために、PRPを注射ではなくスタンプ型の細かな針がついたメソガンでシャワーのように浅く注入します。改善の可能性があります。

②手の甲のシワ
首と手は年齢が出るパーツと言われます。首はもちろん手の甲の小ジワにPRPを注入すると、ハリが出て肌が若返ります。

ドクターコメント

Doctor comment
ドクターコメント

ひとくちに顔のシワと行ってもさまざまな原因があり、PRP治療は全てのシワに適応しているわけではありません。再生医療と言っても万能の治療ではなく、何故その症状が出たのか・何が原因でそうなっているのかを正しく診断して治療することが大切です。
PRP治療は、自然な仕上がりで効果も長く続く素晴らしい治療ですが、求める効果や作用の現れ方によっては、ヒアルロン酸注入やボトックス注射、あるいは超音波を使ったHIFU治療のほうが向いている場合があります。
PRP治療を受けたいと考えている方は、まずはクリニックで自分の症状が適応かどうかを、しっかりと医師に確認してから受けることをおすすめします。

この記事の監修

SSクリニック 柴田真一 院長

プロフィール
経歴
平成6年 岡山大学医学部卒業
社会保険中京病院(臼田俊和 部長)
虎の門病院(大原國章 部長)に勤務
平成12年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
平成16年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
平成20年 皮ふ科SSクリニック(現在 SSクリニック)開院
所属学会・資格
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本皮膚外科学会
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚外科学会評議員
日本アンチエイジング外科美容再生研究会 認定医
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