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粉瘤

たかが粉瘤、されど粉瘤 Final Stage(追加修正版)

日本全国から粉瘤の方がいらっしゃいます。
 
とても有難いのですが、私は眼瞼下垂症手術とシミ治療を極めなくてはなりません。
粉瘤のブログは今回でひとまずお休みとします。
 
45歳の女性の方です。後頚部(うなじ)の粉瘤手術を希望され、東京より来られました。
他院でメスで大きく切るしかないと言われたそうです。

 
うなじです。傷をなるべく残したくないですね。
 
4mmトレパンを用いて腫瘤のヘソをくり抜きます。

 
指で揉みだして内容物を摘出します。しっかりと出し切らないと粉瘤の袋が出ません。

 
周囲を眼窩剪刃で剥離すると袋が飛び出てきます。

 
袋は底まで完全に摘出しなくてはなりません。剪刃(右)の刃先が袋の底面です。

 
術後1週間です。わざわざ東京からガーゼ交換に来られました。
肉芽が盛り上がってきています。
最終的にはニキビ痕くらいの傷で落ち着きます。

 
どう考えても手術代よりも交通費のほうがかかりますよね。
なんとなく申し訳ない感じです。
 
今まで髪の毛で粉瘤を隠していたそうです。
これでボブアップの髪型ができるとすごく喜ばれていました。
 
術後のガーゼ交換について。
原則的には術後1週間後に1回のみ再診してもらいます。
術後に抗生剤、消毒は処方しません。必要ないからです。
 
消毒は絶対にさせません。
かぶれの原因になったり、創傷治癒を遅らせてしまう可能性があるからです。
 
手術の翌日から入浴して創部をお湯で洗ってもらっています。
 
夏は化膿しやすいので手術しないほうがよい?
冗談は止めて下さい。私は一年中手術しています。
術後に化膿させたことは一度もありません。
 
くりぬき法で本当に袋がすべて取れるのか?
 
術者の技量によります。
 
下の写真はこの方の病理組織検査です。底まで取れているのが分かります。

 
くりぬき法で行った粉瘤の病理組織所見をいくつか提示します。

 

 

 

 
すべての症例がくりぬき法で取れるわけではありません。
最近経験した興味深い症例を提示します。
 
京都から右臀部の粉瘤を主訴に患者さんが来られました。
触診で腫瘤が2つあるような感覚を受けました。
 
エコー検査でも腫瘤が2つに分かれているのが確認できます。

 
おそらくくりぬき法では取れないでしょう。
 
患者さんはくり抜き法を期待して来られましたが、納得してもらいメスで切開しました。

 
ひょうたんのような粉瘤ですね。これは珍しいです。

 
病理組織検査のルーペ像です。メスで摘出して正解でした。

 
39歳の女性です。背部の上方に点状の陥凹が見えますか?
粉瘤の所見です。ご自分でよく内容物を出していたそうです。

 
このような症例は注意が必要です。
炎症により袋が周囲組織と癒着している可能性があるからです。
 
エコー検査をしましたが腫瘍(粉瘤)の輪郭は不明瞭です。

 
このような症例でくりぬき法は不適です。
皮膚割線(シワの方向)に沿ってメスで切除します。

 
切除した検体の病理組織検査です。やっぱりね。袋が飛び散っています。

 
私はブログでくりぬき法を強調しすぎていたのかもしれません。いささか反省しています。
 
適切な診断を下して最適な手術法を選択する。これがプロの皮膚科医ではないでしょうか。
 
【大切なお知らせ】
化膿したことがある粉瘤はくりぬき法はできません。
粉瘤の袋が周囲組織と癒着してしまうからです。メスでの切除しかできません。
 
耳の粉瘤もくりぬき法は不適です。
 
また、現在粉瘤が化膿して赤く腫れている状態なら、お近くの皮膚科で切開排膿処置を
受けてください。その状態で当院を受診されても手術はできません。
地元の皮膚科で切開してもらい、化膿が落ち着いた後紹介状を持参して来院してください。

たかが粉瘤、されど粉瘤 season 4

東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、三重、福井、和歌山、京都、大阪。
 

遠路はるばるSSクリニックに粉瘤の手術を受けにこられた方々です。
名古屋でダントツの皮膚外科クリニックと自負しています。
 
みなさん、クリニックのブログを見て来られます。
くりぬき法を希望される方が多いです。
 
でもね、くりぬき法が適応でない方もいるのです。
今回はそれにまつわる話をしますね。
 
右胸のしこりです。
しこりの中央部にヘソがあり粉瘤であることは一目瞭然です。

 
触診で気になる感じがあったのでエコーで確認します。やっぱりね。壁の一部が不整です。
炎症を生じているようです。

 
このような症例ではくりぬき法ではなく、メスでの全摘術が無難です。
皮膚腫瘍の基本は完全摘出だからです。
 
メスで摘出しました。相変わらずきれいに摘出していますね。
病理組織検査の標本です。

 
壁の底面を拡大します。
粉瘤の嚢腫壁は重層扁平上皮ですが、一部が組織球、異物巨細胞に置換されています。
エコーはこの早期の変化を捉えたことになります(エコーとは左右が逆になっています)。

 
エコーいいですよ。
杉本先生(名古屋スポーツクリニック)、またディスカッションさせてください。
 

皮膚腫瘍とエコー診断。 いつの日か実践的な本を出版しますよ。
タイトル 【皮膚エコー診断の基本とその勘どころ】 SS出版、なんてね(笑)。

粉瘤 くりぬき法 season 5

くりぬき法は万能か?
 
Noです。炎症を併発した粉瘤は周囲と癒着するため、くりぬき法は不適です。
あまり大きな粉瘤も私は自信がありません。
 
頭もメスのほうが無難でしょう。背~腰部は真皮が厚く、嚢腫壁を剥離するのが大変です。
くりぬき法が最も適しているのは顔のような気がします。
 
最近経験した背部の粉瘤です。40年ものです。

 
本当はメスで切除したほうが無難なんですけどね~。
みなさん、ホームページを見てくりぬき法を期待して来られるようです。
でもこれだけ大きいとメスがいいよな~。独り言です。
 
「一応、くりぬき法を行いますが、摘出できる可能性は50%くらいです。取れないと判断したら途中でメスでの切除に切り替えます」と逃げのムンテラをします。
 
通常は4mmトレパンを使用しますが、今回は5mmトレパンを用いました。
内容物をしっかりと揉みだし、ぺしゃんこになった嚢腫壁を剥離して引っ張り出してきます。
剪刃の先端が嚢腫壁の底面です。

 
取れましたね。よかったです。写真左側が底面です。

 
大きい場合は術後の血腫が心配なので翌日に再診してもらいます。
手術翌日です。出血もなく問題ないです。

 
手術後2週間です。肉芽が盛り上がり、上皮化が始まっています。
あれだけ大きな粉瘤がニキビ痕くらいの傷ですむなら上出来ではないでしょうか。

くり抜き法、もう少し普及するといいですね。
しかし、大きな粉瘤はメスでの切除が無難かも。
 
 
【大切なお知らせ】
化膿したことがある粉瘤はくりぬき法はできません。
粉瘤の袋が周囲組織と癒着してしまうからです。メスでの切除しかできません。
 
耳の粉瘤もくりぬき法は不適です。
 
また、現在粉瘤が化膿して赤く腫れている状態なら、お近くの皮膚科で切開排膿処置を
受けてください。その状態で当院を受診されても手術はできません。
地元の皮膚科で切開してもらい、化膿が落ち着いた後紹介状を持参して来院してください。

たかが粉瘤、されど粉瘤 season 3

耳の粉瘤はちょっと苦手です。
 
耳垂部の表裏に癒着していることが多く、くりぬき法よりメスで摘出したほうが無難です。
 
手術はこんな感じです。メスで耳垂の縦方向に切開します(右耳の裏側です)。

 
ルーペで確認しながら慎重に切除します。右第5指がポイントかも。

 
指を上手く使うといいですね。取り残しは絶対だめ!!
この指の使い方は眼瞼下垂手術にも生きてくるのですよ。

 
取れました。割と大きかったです。

 
病理組織検査で確認しましょう。

 
きれいに取れましたね。 プロフェッショナルですから。
 
でも耳の粉瘤はちょっと苦手かも・・・。
 
【大切なお知らせ】
諸般の事情により耳の粉瘤手術は現在当院でおこなっていません。
お近くの総合病院皮膚科もしくは形成外科を受診してください。

粉瘤 くりぬき法 season 4

研究会後の懇親会の場などで皮膚科の先生からくりぬき法についてよく質問されます。
また、くりぬき法の治療のために東京、関西方面からも患者さんが来られます。
 
交通費のほうが治療費より高くなってしまいます。もったいないです。
 
ちょっとしたコツさえつかめばくりぬき法は簡単です。
手順を再度供覧します。
 
頚部の粉瘤です。真下を頚動脈が走行しています。

 
エコーで血管との位置関係を確認します。エコーは必ずしも必要ではありません。

 
4mmトレパンで真皮のみを切開します。ずぼっと切開しなければ下の動脈を損傷させることは絶対にありません。 内容物を可能な限り出し切ります。

 
モスキートで嚢腫壁を保持して、曲がりの眼科剪刃で嚢腫壁の周囲をひたすら剥離します。

 
剥離を続けると必ず壁が周囲の結合組織から剥がれてきます。あと一息です。

 
嚢腫壁の底を確認して周囲の結合組織から切り離します。ここがポイントです。
嚢腫壁を取り残したら再発してしまいます。
下の写真で剪刃の上が嚢腫壁の底です。剪刃の下が結合組織です。
嚢腫壁は白~灰~青色、結合組織は白色をおびた半透明色です。

 
嚢腫(粉瘤)がきれいに摘出されました。

 
粉瘤の手術治療でくりぬき法がベストというわけではありません。
しかし、顔面、頚部ではこのやり方のほうが手術跡が目立ちません。
 
自分が受けたいと思う治療を患者さんに提供する。私の治療理念です。
相変わらず生意気でごめんなさい。
 
 
【大切なお知らせ】
化膿したことがある粉瘤はくりぬき法はできません。
粉瘤の袋が周囲組織と癒着してしまうからです。メスでの切除しかできません。
 
耳の粉瘤もくりぬき法は不適です。
 
また、現在粉瘤が化膿して赤く腫れている状態なら、お近くの皮膚科で切開排膿処置を
受けてください。その状態で当院を受診されても手術はできません。
地元の皮膚科で切開してもらい、化膿が落ち着いた後紹介状を持参して来院してください。


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