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ほくろ

ダーモスコピー

足のホクロに注意しろ!
 
そんな言葉を聞いたことがありますか?
 
ホクロのガンが悪性黒色腫(メラノーマ)です。
日本人に発生する悪性黒色腫の30%以上が足に局在します。
理由は分かりません。白人にそれとくらべると足にできる頻度が多いのです。
 
私が皮膚科に入局した頃は眼で見て判断するしか方法がありませんでした。
医学は進歩します。
 
ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡の普及です。
ただ単に病変を拡大するだけではなく、病変部にゼリーをつけることで光の透過性を高め
より深部まで観察することができます。

 
具体的に説明します。
手掌・足底には指紋があります。指紋を形成する溝を皮溝、丘を皮丘と呼びます。
良性のホクロは皮溝を中心に色素が見られます。
これとは対照に悪性黒色腫は皮丘に色素がでます。
 
いくつかホクロのダーモスコピー像を提示します。
 
ぼんやりとした色調の褐色斑です。肉眼で良性、悪性を判断するのは難しいのでは?

 
ダーモスコピー所見です。皮溝優位の典型的な良性(parallel furrow)のパターンです。
放置して問題ないでしょう。

 
子供の足です。かわいい足ですね。足底に色素斑があります。
私は肉眼で良性、悪性を判断する自信がありません。

 
皮溝の線状の色素沈着と皮丘の淡い褐色斑。mixed pattern と呼ばれます。
これも良性のホクロで見られるパターンの一つです。

 
2例目のような複雑なパターンを肉眼で診断することは不可能だと思います。
ちょろっとルーペで見て、多分だいじょうぶでしょう、と診断する医師もいます。
ルーペでこの煩雑なパターンが分かりますか? 多分とはどういう意味ですか?
 
踵の色素斑です。中心は濃く周囲は薄い色です。色ムラがありますね。
さあ、診断は?

 
皮溝を取り囲むようにdot(点)が平行に並んでいます。
double dotted line variant 、皮溝優位のパターン(parallel furrow)のsub typeです。
これも良性のパターンです。診断にはちょっと慣れが必要ですね。

 
3番目の症例などは10年くらい前まではメスで切除して病理組織検査に提出して良性、
悪性を確認するのが一般的でした。
 
今はそんなことはほとんど行いません。
ダーモスコピーである程度の鑑別診断がつくからです。エビデンスのあるツールです。
 
良性の可能性が高ければメスを入れる必要はない、と私は考えています。
 
ダーモスコピーは保険適応の検査です。72点です。
保険診療では1点が10円なので検査は720円です。3割負担で200円ちょっとです。
保険診療は日本の素晴らしいシステムです。 しかし安すぎるぞ~、厚生労働省!
 
気になるホクロがあればお近くの皮膚科でダーモスコピー検査を受けてください。
 
ホクロというありふれた疾患に対してどこまで誠実に対応してくれるのか。
そんなところに皮膚科クリニックのレベルがあらわれるのではないでしょうか。

真っ当なホクロ治療

ホクロの治療は奥が深いです。
 
ホクロの治療で美容外科医の実力が分かるのでは?
単純な治療だからこそ技量が出やすいのだと思います。
 
「それはちょっとな~」と思った患者さんを提示します。
 
高校生の頃にチェーン(全国展開)美容外科でホクロ治療をうけたそうです。
治療した周囲に色素斑が残っています。治療範囲が狭すぎるのです。

 
ダーモスコピーです。中央部は白く瘢痕となっています。

 
反対の頬部にもホクロ治療の取り残しがあります。
中央部がえぐれて周囲には色素斑が残っています。雑な治療ですね。

 
ダーモスコピーです。

 
 
違う有名チェーン美容外科でホクロ治療を受けた別の患者さんです。
えぐれてクレータ状になっています。

 
凹ましたらダメなのです。
もとには戻りません。2~3回治療してもよいから凹まさずにに治すのがプロです。
 
一般的にホクロ治療は炭酸ガスレーザーを用います。
もちろん私も使用しています。
 
焼灼モードは熱ダメージの少ないSP(スーパーパルス)モードを選択します。

 
 
葛西健一郎先生の書かれた「炭酸ガスレーザー治療入門」から引用しました。
ホクロは浅く広く焼灼するのが基本です。下の図なら bではなく cが正解です。

 
葛西形成外科にてホクロの炭酸ガスレーザー治療を見学する機会に恵まれました。
山村有美先生の炭酸ガスレーザー焼灼は素晴らしかったですよ。
フットスイッチを足で小刻みに踏んでリズミカルに焼灼していました。
 
炭酸ガスレーザーは足で打つ!
 
私は患者さんに必ず言います。
「ホクロは浅い(薄い)のは1回、深い(濃くて隆起)ものは2~3回かけて治します」
 
SSクリニックを受診した患者さんです。

 
広く浅く焼灼します。焼灼直後の写真です。これでいいのです。
このタイプの単純黒子なら1回の焼灼で取れるでしょう。

 
ホクロ治療は凹ましたら負けです。
 
 

参考文献
炭酸ガスレーザー治療入門 文光堂 葛西健一郎、酒井めぐみ、山村有美

【ホクロの治療】 -私の考えー

顔のホクロ、気になりませんか?

一般に顔のホクロは大きく2つに分類できます。
平坦なものと隆起しているものです。
前者は単純黒子(lentigo simplex)、後者はMiescher 型の真皮内母斑です。
 
私は単純黒子を炭酸ガスレーザーで焼灼、真皮内母斑はサージトロンで焼灼しています。理論的な裏づけはありませんが、この方法が術後の経過がよいことを経験しています。
私たち臨床医はこの経験の積み重ねが何よりも大切なのです。

術後のトラブルとなるのは再発です。。施術して1ヶ月後くらいより部分的に黒色の色素沈着が出現することがあります。

深く焼灼すればよいと考えがちですが、真皮層の深いレベルまで焼灼すると陥凹が残ります。 陥凹を生じない深さに焼灼を留めるのがミソでもあります。

今回はこの再発性の色素沈着についてお話します。
 
右頬部と唇の上にある盛り上がったほくろを気にされて来院されました。このタイプの隆起性のほくろはサージトロンで焼灼します。

 
下の写真がellman社のサージトロンです。ラジオ波と呼ばれる高周波の波長で組織を焼灼する為、創傷ダメージが最小限で抑えられます。

 
施術後間もないやや赤い創面(右頬部、上口部)に黒い色素斑が再発しました。

 
右頬部のダーモスコピー(10倍拡大像)です。不整型の濃い黒褐色斑があります。

 

上口部のダーモスコピーです。黒褐色斑の出現があります。うぶ毛も目立ちませんか?
顔の盛り上がったホクロは太いうぶ毛を伴うことが多いのです。

 
以前はサージトロンもしくは炭酸ガスレーザーで再焼灼していました。

ダーモスコピー画像を見てはっと思ったことがあります。
色素の出現は母斑細胞の再発なのでしょうか?
色は濃く、私には残ったメラニンがエリミネーション(排出)して表皮~角層にに排出されているように思えるのです。
その仮説が正しいならばルビーレーザー照射でも効果があるはずです。
 
The Ruby Z-1(JMEC社)の登場です。私は表皮もふっ飛ばしたいでのQ-switch ではなく
Normal モードを選択します。この器械はQ-switch とNormal 照射を選択することができます。この機能はとても大きいですよ!

 
左頬部の再発をRuby laser 照射した直後のダーモスコピー像です。色素だけがきれいに
吹っ飛んでいます。この芸当は炭酸ガスレーザーでは不可能です。

 
上口部の再発をルビーで照射した後のダーモスコピー像です。
色素だけでなくうぶ毛も吹っ飛んでいるのが分かりますか?

 
ルビーレーザー照射12日後です。再発した色素斑は跡形もなくなっています。
レーザー照射部も完全に上皮化しているのが分かりますか?


 
この方はきれいになりますよ。
きれいになったお礼にと宮崎県の焼酎「100年の孤独」頂きました。こんな高価なお酒をありがとうございます。休診日の前にじっくりと酔わせてもらいます。楽しみだな~
 
ルビーレーザーのよいところは炭酸ガスレーザーと違って麻酔注射が必要ないことです。
また上皮化がとても早いのも大きな特徴です。
 
別の症例です。サージトロンで左下顎部のホクロを焼灼しましたが色素斑が出てきました。

 
ダーモスコピーで見るとこんな感じです。褐色斑とやや太いうぶ毛も目立ちますね。

 
ルビーレーザー(Normal モード)で照射1ヶ月後のダーモスコピー像です。
メラニン色素ははきれいになくなっています。太いうぶ毛も細くなり目立たなくなっているのが分かりますか? 毛はメラニンを有する為、ルビーレーザーに反応するのです。

 
患部はやや白いですが時間ととも馴染むでしょう。

 
サージトロン(もしくは炭酸ガスレーザー)とルビーレーザーのコンビネーション治療。
ホクロの治療にはこの組み合わせがよいと思っています。

皮ふ科SSクリニックは最後まで責任を持って治療するクリニックです。


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