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診療だより

粉瘤の記事一覧

  • 粉瘤 -炎症について-

    2015-11-10 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    数年ぶりに粉瘤について書きました。

    粉瘤はアテローム、表皮嚢胞などとも呼ばれます。

    表皮が真皮内に下掘れして嚢胞ができると私は習いました。

    粉瘤は毛嚢の非常に浅い部位が狭窄することにより、毛嚢漏斗部が
    拡張して貯留性の嚢胞となるようです。
     (みき先生の皮膚病理診断 ABC ②付属器系病変より)

    粉瘤は放置してよいか? 早期に手術すべきか?

    これは難しい問題ですね。

    放置して粉瘤がなくなることはなく、次第に大きくなります。
    一番やっかいなのは、粉瘤は炎症を生じる頻度が高いことです。

    55歳の女性です。左頚部に小さな粉瘤があります。
    画像 52579

     

    この粉瘤のエコー像です。
    小さな粉瘤では、エコー像も典型像が描出されません。
    下に大きな血管があるのが恐いですね。
    粉瘤 エコー

     

    2mm トレパンを用いたくりぬき法で摘出します。
    画像 52632

     

    摘出した粉瘤の病理組織検査です。

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

     

    拡大像です。

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

     

    粉瘤の袋の下が破れて、中身(ケラチン)が飛び出ているのが分かります。
    ここから異物反応が生じ、強い炎症反応へと移行します。

    粉瘤のへそから細菌感染が始まり、炎症が広がると考えられていました。

    ①赤く炎症を生じた部位が、へそから離れていることが多い。
    ②抗生物質を投与しても、炎症が改善されない。

    上記の2点をしばしば経験します。

    粉瘤の炎症の始まりが、袋からケラチンがこぼれることによる異物反応ならば
    上記2点も納得できます。

    この見解は、第114回日本皮膚科学会総会で大阪医療センター皮膚科の
    為政大幾先生が発表されていました。

    やはり学会には参加して、勉強を続けることは大切です。
    この歳になっても、得るものが多いです。

    粉瘤は積極的に取るべきかどうか?

    なんでもかんでも取る必要はないと思います。
    臭いや見た目などが気になるようなら、取ればいいと考えています。

    顔などは粉瘤が小さくとも、炎症が生じる前に切除したほうがよいでしょうね。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 頭の腫瘍 -外毛根鞘性嚢腫-

    2014-05-15 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    頭によく生じる腫瘍。

    多いのが外毛根鞘性嚢腫、粉瘤の親戚です。
    他には、脂肪腫、めずらしいですが骨腫など。

    48歳の女性です。
    10年前より頭にある腫瘍が炎症を生じたため受診されました。

    感染がひどかったため、抗生剤投与のみでは対応できず、切開排膿しました。
    頭は出血が止まりにくいので大変です。

     

    4年経過してから、再診されました。大きく育っています。

     

    エコー検査です。不規則に増生しています。

     

    残念ですが、一度化膿した嚢腫性病変はくりぬき法は不適応です。

    エコー検査でおわかりのように、不整型に増殖、周囲組織との癒着が強いからです。

    頭の腫瘍は大変です。

    大きい場合は入院して、治療を受けたほうが無難です。
    私もよく総合病院に紹介しています。

    この症例は切開排膿を私が行っているので、当院で治療しました。

    毛流の方向を考え(垂直方向がよい)、メスで切除します。境界がモコモコしています。

     

    腫瘍の底面が下床と強く癒着しているため、エンパイアニードル凝固モードで筋膜を含めて
    切除摘出します。出血させないことがポイントです。

     

    切除した検体です。頭皮は緊張が強いので、切除する皮膚は最小限にとどめます。

     

    病理組織検査です。外毛根鞘性嚢腫の像です。完全に摘出されています。

     

    粉瘤とよく似ていますが、表皮細胞が顆粒層を経ずに角化しているのが特徴です。

     

    私は手術翌日から頭をシャンプーで洗っていただいています。

    患者さんは驚かれますが、そのほうが感染せず、創の状態も良好です。

    手術1週間後。抜糸直前の写真です。まずまずの状態でしょうか。

     

    以前は頭の創は真皮縫合をしませんでした。真皮縫合による脱毛を危惧したからです。
    そのため2回に分けて抜糸していました。

    2週間もすると、皮膚を縫った糸の周りに軽い炎症を生じることがあります。
    PDSなどの吸収糸(溶ける糸)を用いると、脱毛しないことが分かりました。

    以上の2点から、現在では吸収糸で真皮縫合を行い、皮膚を細い糸で軽く縫合する
    ようにしています。

    いろいろな意味で創の経過は良好です。

    皮膚外科ですが、美容外科の修練も受けていますので、美容のよいところを取りいれ
    ています。

    目立たない創を目指した手術を心がけています。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 粉瘤 -大きくなる前に-

    2014-04-27 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    粉瘤は大きく育つと、治療も大変です。

    ブログに協力頂いた患者さまに感謝します。

    36歳の男性です。医療関係の患者さまです。

    ずいぶんと育てましたね。
    営業のかたが、ここまで放置してはいけません(笑)。

     

    小さな傷を希望されて、わざわざ東京から起こしになりました。
    東京から来れるのは珍しくありませんが、大きいです。

    触診から粉瘤であることは、わかります。

    腫瘤は鼻腔入り口まで広がっています。
    圧迫すると皮膚が白くなる部分があります。ここだな!

     

    エコー検査です。大きいですが、嚢腫壁の境界は明瞭です。
    下は筋層に近いですね。

     

    4mm トレパンでくり抜き、内容物をもみ出します。
    すごい量の粥状物です。

     

    嚢腫壁をきれいに摘出することが、手術のポイントです。

     

    なんとか、取り出しました。袋を広げます。

     

    もう大丈夫です。
    穴は10日くらいでふさがります。

     

    1年もすれば、傷はほとんど目だたなくなります。
    が、毛がない部分が数ミリできてしまいます。

    鼻腔まで広がっていなければ、下の図のようなアプローチも
    可能です。傷は鼻腔のラインに隠れます。

     

    最善を尽くしたつもりでも、反省することもあります。

    皮膚外科の道は深遠です。

    だからこそ、生涯をかけてやる価値があるのです。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 粉瘤 アテローマ -小さな傷痕で治す-

    2014-04-13 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    おかげさまで、日本中から粉瘤の患者さんが来られます。

    ありがたいことです。

    今回もブログに協力くださり、本当に感謝しています。

    41歳の女性です。滋賀県から来られました。

     

    こんなに大きくなるまで放置してはいけません。

    頬の粉瘤は意外に深くまで浸潤していることが多いです。

    エコー所見です。深いですが、腫瘤の境界は明瞭です。

     

    エコー所見より、くりぬき法が可能と判断しました。
    くりぬき法の適応を決めるのに、エコー検査は必須アイテムです。

    勤務医の頃は、メスで紡錘形に大きく切除していました。

    どんなに丁寧に真皮縫合を行っても、線状の傷は生涯残ります。
    開業して、意識革命が起こりました。

    美容外科を標榜していること、私の美意識の観点から、大きな傷を
    残すことに、ためらうようになりました。

    トレパンのサイズを選ぶことから、勝負は始まっています。
    粥状物をしっかりと揉みだします。

     

    くりぬき法は意外とコツが必要です。刃先が薄い上等な剪刃を使います。
    とにかく、剥離すること。剥離しながら摘出します。

     

    つるりと出てきました。紐のようにぶら下がって見えるのは、
    周囲の結合組織です。完全に摘出しなくてはいけません。

     

    手術直後です。4mmの穴ですが、いがいと大きく感じます。
    傷を見て驚かれるかたもいます。

     

    大丈夫です。

    クリニックで説明する閉鎖保存療法を10日間行えば、創はしぼんで
    小さくなって、治りますよ。

    ゲンタシン軟膏での開放療法ではダメです。
    それでは陥凹が残ってしまいます。

    しっかりとした術後の説明・指導、患者さんの協力があってこそ、
    よい結果が生まれるのです。

    術前に、しっかり説明してくれるクリニックを選ぶと、よいと思います。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 粉瘤くりぬき法 -傷痕を探せ!-

    2014-04-05 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    ブログに協力して頂いた患者さん、ありがとうございます。

    33歳の素敵な女性です。

     

    これはいただけません。

    素敵な女性が、頬にこんな大きな出来物をつけておくのは、
    忍びないです。

    当院を受診する前に、名古屋市郊外の総合病院形成外科を
    受診されたそうです。

    神経があるところだから、放置したほうがよいと言われた、と。

    またまた、理解不能です。

    エコー検査です。
    両外側陰影、底面後方エコーの増強など粉瘤にcompatible な所見です。

     

    さあ、どうするか。SS がやるしかないでしょう。

    粉瘤のヘソが、下のほうにあります。

     

    ヘソを4mm トレパンでくり抜きます。

    粉瘤の内側を指で外側に押し寄せます。
    こうすることで、ヘソが中央にシフトしてくれるのです。

     

    何気にやっているようで、いくつかのポイントがあります。

    粥状物をしっかりと揉み出してから、嚢腫壁を取り出します。

     

    くり抜き法の傷痕が知りたい。

    そのような問い合わせがよくあります。

    久しぶりに、患者さんがお見えになりました。
    良い機会なので、術後の経過を提示します。

    手術してから、1年5ヶ月です。

    再び、術前の写真です。

    さあ、傷痕はどこでしょう? これが皮膚外科医の実力です。

    今回のタイトル、傷痕を探せ!

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

  • 粉瘤 -皮膚外科で治す-

    2014-03-12 UP!     カテゴリー:粉瘤, 診療だより

    しつこく、粉瘤について。

    ブログに協力して下さった患者さまに、心より感謝します。

    21歳のギャルです。
    2年前より、左頬にしこりが出てきたと。

    口を膨らませると、このような感じに盛り上がります。

     

    1年前に地元の市民病院形成外科を受診。
    悪いものではないので、放っておけばよいと。

    ちょっと無責任すぎませんか・・・。

    放置しても、なくなることはありません。
    どんどん育つか、化膿するか。

    どちらも嫌です。

    平成26年2月初旬に、当院を受診されました。
    粉瘤は深く、咬筋を圧迫しています。

     

    当院で行っている、くりぬき法について説明しました。
    なかなか話がかみ合わず、残念ですが、その日は物別れ。

    このようなことが、時々あります。
    1週間後に再診されました。

    当院を受診したすぐ後に、某大学病院形成外科を受診。
    傷痕のことを、いろいろと言われたそうです。

    ご本人がくりぬき法についてお話したところ、それをやっている病院で
    治療を受けたほうがよいと。

    なんのこっちゃ(笑)。

    くりぬき法は粉瘤のヘソをダイレクトにくり抜くことが大切です。

     

    余談ですが、メスでまともに切除縫縮したら、大きな傷になりますね。
    若い女性の顔に、大きな傷をつけたくはありません。

    4mm トレパンでくり抜き、しっかりと粥状物を出し切ります。

     

    嚢腫壁が出てきました。こんにちは。
    チタン製のアイリス剪刃で、剥離して取り出します。

     

    丸く穴をあけましたが、皮膚の緊張で皮膚割線に沿った
    楕円形になります。

     

    しばらくは厳重な閉鎖療法を行ってもらいます。
    傷をきれいにするには、患者さんの努力もとても大切です。

    手術13日目です。半年もすれば目立たなくなります。
    患者さんも満足されて、私も嬉しいです。

     

    病理組織標本です。切り出し作業でぶつ切りされていますが、
    しっかりと全摘できていますよ。

     

    皮膚外科で行う、粉瘤手術。 よいでしょう?

    私たち皮膚外科医は日本皮膚外科学会を通して、切磋琢磨し合い、
    よりよい医療技術を追求し続けています。

     
     【注 意】
    粉瘤に発赤・腫脹などの炎症所見がある場合は手術の時期ではありません。
     なるべく早く地元の病院(皮膚科・形成外科・外科など)を受診してください。

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