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しみ(ルビーレーザー)

マスターたちとの日々 その4

ついに念願がかないました。
 
葛西形成外科さん(大阪)に行くことができたのです。
葛西健一郎先生は日本で有数のレーザーの大家です。
 
ずっと見学に行くことを夢見ていました。
 
私が葛西先生のことを知ったのは書籍「皮膚科診療プラクティス 17 Rejuvenationの実際」文光堂がきっかけです。この本は葛西先生がゲスト編集でした。

 
その頃はまだ勤務医でしたが美容皮膚科とはなんぞや、との問いかけに惹かれたのを覚えています。
続いて購入した「シミの治療」文光堂はさらに衝撃的でした。
シミとはなんぞや? 正しい治療とは何か?
葛西先生の長年にわたる経験に裏打ちされた理論に衝撃を受けたのを覚えています。
 
クリニックを臨時休診して(私の大切な患者さん、すみませんでした)泊まりで葛西形成外科さんに行ってきました。
 
日常診療で疑問に思っていることはたくさんあります。
●Qスイッチレーザー後のテープは10日間がベストなのか?
●色の薄い日光黒子のQスイッチレーザー照射の設定モードは?
●単純黒子でNormalモードでQスイッチモードを併用する場合、どちらのモードを先に照射すべきか?
●Qスイッチレーザー照射後の炎症後色素沈着、消退しないものもあるのか?
●Qスイッチレーザー照射後に残った日光黒子、再照射はいつが適切か?
●ADMの本当の最適照射モードは何なのか?
●Qスイッチレーザー、ルビーとYAGの使い分けはなにか?
●Qスイッチレーザー照射後のハイドロキノン軟膏の外用は本当に意味があるのか?
などなど。
 
全てに満足のいく答えを頂くことができました。
2日間でしたが間違いなく私のレーザー治療は深まりました。
 
左から山村先生、葛西先生、しんちゃん先生です。

 
葛西先生の外来、治療を見させてもらいました。
1歳児の顔半分に及ぶ先天性母斑のレーザー治療。
すごかったですよ。この治療をやりぬく葛西先生の覚悟を肌で感じました。
「オレにしかできないんだ」という熱いパッションがびんびん伝わってきました。
こちらの心も揺さぶられましたね。
この患者さんのためにQスイッチレーザーのハンドピースを特注であしらえる程です。
 
常人にはできませんよ。本気の覚悟です。
 
葛西先生はしみ・あざ治療で有名ですが、手術も素晴らしかったです。
この日は腋臭症の手術を見学しましたが、片側でわずか20分でした。
縫合のコツも興味深かったです。
ある意味、葛西先生は天才的な先生です。ちょっと真似はできませんね。
 
閑話休題。
私がレーザー治療のバイブルとしている「しみの治療」にサインを頂きました。
この本は最低でも20回は読まないとダメですよ。

 
内容の関係上、ブログでは書けないこともたくさんあります。
私が心に残った葛西先生語録を少しだけ書きますね。
 
「相関関係と因果関係の混同」
「real と illusion」
「迷ったら強く照射する!」

「赤みは2種類ある。紅斑症と毛細血管拡張症である。紅斑症には炎症が伴っている。」
 
○ハイドロキノン軟膏を外用したから炎症後色素沈着が軽減したのではなく、ハイドロキノン軟膏を外用することに伴う遮光、患部の丁寧な手当てが炎症後色素沈着を軽減させている可能性がある。相関関係と因果関係を混同してはいけない。
○Qスイッチレーザー、炭酸ガスレーザー、脱毛レーザーはreal な治療である。結果が写真で分かるから。サーマクール、フラクセルレーザーはillusion(幻想的) な治療である。
なぜなら結果が写真に現われないから。
○炎症が原因の紅斑症(例えば酒さ)の治療は炎症を抑えること。レーザー(フラッシュランプ)治療は炎症がない器質的疾患にのみ有効である。
 
これ以上書くと、レーザーメーカーからクレームがきそうなのでもう止めますね。
 
葛西先生と2日間をともにしてつくづく感じたことがあります。
答えは現場(臨床結果)にある。
 
この治療がどうして効いたのか、または効かなかったのか?
臨床結果からフィードバックして理論を構築する。

おバカな美容皮膚科、美容外科とまともな皮膚科、形成外科の違いは、このフィードバック作業をするかどかによるのでしょう。レーザーメーカーの言うことを鵜呑みにしているような
先生はちょっと頭がお粗末ですね。
 
私にとってはエポックメイキングな2日でした。
 
この症例覚えていますか?

 
notoriousな某美容クリニックでレーザー照射を受けた患者さんです。
以前にもこのブログに登場しました。
 
今の私なら全て分かります。
このしみは炎症後色素沈着ではなく、照射の誤りである。

このまだらな色調は照射パワーが不十分です。低すぎるのです。
またまだらになっているところを見ると、照射にムラがありかなり雑です。
ビームプロファイルが一定でなく、粗悪なレーザーで照射を受けている可能性があります。
 
レーザー治療もすべては理論なのです。
 
そのことを葛西先生から教えて頂きました。
 
葛西健一郎先生へ
2日間、手取り足とり本当にありがとうございました。
先生のレーザー治療に対する理論と覚悟を身をもって教えて頂きました。
私がどこまでまっとうにできるのか分かりませんが、先生のように自分の頭で考え、臨床結果から絶えずフィードバックするようなまっとうな医師であり続けたいです。

このシミはどうする?

60歳の女性です。シミの相談です。
左頬部に大きな色素斑が2つあります。まだらな色調なのが気になります。

 
3年前にnotoriousなBZクリニックでレーザー治療を受けたそうです。
いったんはきれいになったがすぐにシミが戻った、とのこと。
 
美容外科でのレーザー治療ですとQスイッチYAGレーザーでしょうかね。
 
いったんはきれいになった?
と、すると炎症後色素沈着後が遷延しているのでしょうか?
通常は半年以内で消退します。こんなに遷延することはありません。
 
もしこの患者さんが他院で治療を受けた直後ならば、最低半年間は経過観察とします。
しかし3年が経っているのです。
 
色素斑がまだらな色調を呈していることから察すると、適切なレーザー照射をされていない可能性が大です。このまだらな照射はちょっとひどいですね。
 
私は一つの色素斑でもIWP(直後の白色変化)を確認しながら、照射エネルギーを調整しながら照射します。レーザー治療も術者のテクニックが必要なのですよ!
 
迷わず、最強のQスイッチルビーレーザーを照射します。
 
照射11日後です。痂皮がぺろりと取れました。

 
とりあえず、外側の色素斑のみ照射しました。痂皮がとれた状態です。
とてもきれいになっていますが、まだちょっぴり赤いですね。

 
照射2ヶ月10日後です。
炎症後色素沈着は出現していません。とてもいい状態です。

 
照射3ヶ月後です。この時期に炎症後色素沈着が出現していなければもう大丈夫です。
本当にきれいなりましたね。ちょっと本人もびっくりしたみたいですよ。
最後までフォローしない先生が多いですからね~。

 
なんだか、残った内側の色素斑が目立ってしまいますね。
いずれこちらも治療しましょう。
 
やはりルビーレーザーはヤグ(YAG)、アレキサンドライトとは切れ味が違うようです。
 
The Ruby Z-1、惚れたぜお前に。

ADM (両側性遅発性太田母斑様色素斑)の正しい治療

ADM ( acquired dermal melanocytosis )

日本語では両側性遅発性太田母斑様色素斑、後天性真皮メラノサイトーシスなどと呼ばれています。20歳ころから両頬、おでこ、目の下などに出現する褐色~グレイっぽいシミです。

シミというよりアザが正確な表現かもしれません。

この疾患には反省すべき思い出があります。

私が虎の門病院で皮膚外科の修行をしていた時(2010年)のことです。
20代のきれいな女性が外来に初診で来られました。
主訴は両頬部のうすいグレイの色素斑です(やや記憶が不明瞭です)。
 
その頃の私はADMという疾患に対する知識がありませんでした。
若くして出現した肝斑かな~と思い、ビタミンCを処方しようとしたところ、
患者さんから「これは両側性遅発性太田母斑様色素斑と思われるのでレーザー治療して欲しい」といわれました。そんな病気があるんかいな~と訝しがりながらも、患者さんに言われるがままアレキサンドライトレーザー治療の予約を入れました。
 
虎の門の外来カンファレンスにて、この患者さんのスライド写真を見て、大原國章先生はきっぱりと両側性遅発性太田母斑様色素斑と診断されました。
私は患者さんから教えていただくという、全く不甲斐ない医師でした。

それにしても皮膚外科で日本一の手術を行いながら、シミ、アザ治療にまで造詣の深い
大原先生は本当に凄いお方だと、今さらながら感じ入ります。

その頃から10年がたちます。
そんな私も今ではADMも含めたアザ治療も精力的に行っています。
 
患者さんからブログ写真の協力が得られましたので、合併症を含めて供覧します。
 
62歳の女性です。
両側の頬部に左右対称性に存在する小さな斑状の褐色斑です。色素斑の分布と融合傾向がないこと、さらには年齢から肝斑ではなくADMと診断しました。

 
褐色斑はややグレーに見える部位もありますね。毛細血管の拡張も目立ちます。

 
ADM以外にも頬部の外側には老人性色素斑も混在しているのが分かります。
この年代の女性はいくつもの異なる病態の色素斑を併発しているもです。

 
ダーモスコピー(10倍の拡大鏡)の写真です。
いつも思うのです。ADMも太田母斑のように真皮メラノサイトーシスが疾患の本態です。
それのなにどうして青色ではなく褐色のことが多いのでしょう?
太田母斑にくらべると、増加した真皮のメラノサイトが浅いのでしょうか?
いまだに答えが分かりません。誰か教えて下さい。

 
下の図はメラニンが局在する深さによってどのような色調に見えるかを示したものです。
メラニンが深くなるにつれて褐色→グレイ→青 に見えます。

「An Atlas of Surface Microscopy of Pigmented Skin Lesion」より引用
 
Qスイッチルビーレーザー照射、11日後です。照射部が脱色素斑となっています。

 
照射1ヶ月後です。炎症後色素沈着を併発しています。
薄くなったり、濃くなったりまったくせわしないですね。患者さんとの信頼関係が大切です。

 
照射6ヵ月後です。
合併症も治まり、かなりうすくなりました。


 
反対側の写真です。現時点での患者さんの満足度は80% くらいかな。

 
第250回 東海地方会(平成21年12月)でもADMの演題がありました。その内容を下にまとめました。
 
●ADM治療は脱色素斑、炎症後色素沈着を生じやすい。
●IWP(照射直後の白色変化)が生じる最小出力での照射が望ましい。
●治療間隔は6ヶ月はあけたほうがよい。
●治療の平均回数は3~4回である。
 
1回の治療でここまで改善したらまずまずではないでしょうか。
 
それにしてもThe Ruby Z-1は凄いやつです。
 
 
参考文献
Aesthtetic Dermatology  Vol.19. No 4 December 2009
「対称性真皮メラノーシスの臨床と発症病態」村上喜美子、溝口昌子

Qスイッチルビーレーザー 【炎症後色素沈着後を超えて】

頬部にできた10円玉大のシミ、うっとうしいですね。
 
これは老人性色素斑(日光黒子)と呼ばれるシミです。
病理組織学的には表皮基底層にメラニンが増加しています。高齢者では表皮肥厚や真皮にもメラニンの滴落が見られることがあります。
 
私は老人性色素斑にQスイッチルビーレーザー(JMEC社 The Ruby Z1)を用いて治療しています。老人性色素斑にはルビーレーザーが最も切れ味がよいと確信しています。

 
 
レーザー照射すればその瞬間に魔法のようにシミがなくなる、と思って来院される方もいられます。今回はあえてその合併症である炎症後色素沈着後についてお話します。
 
以前にもこのブログに登場してた61歳の男性です。

 
レーザー照射11日後です。シミはきれいになくなっています。エクセレント!

 
照射28日後です。また濃くなっています。患者さんはがっかりしています。

 
この現象がレーザー治療の最大の合併症である炎症後色素沈着です。
研究会の統計などではQスイッチレーザーによる色素病変治療の約40%に炎症後色素沈着が発生するとされています。
 
照射約2ヶ月後です。また薄くなってきているのが分かりますか?

 
照射約3ヶ月後です。かなり目立たなくなってきました(現在はもっと薄くなっていることでしょう)。Mさん、また受診してくださいね(笑)。

 
炎症後色素沈着は消退するのです(成書では顔で6ヶ月以内に消退すると記載されています)。 しかし、できれば生じさせたくないですよね。
 
日本美容皮膚科学会雑誌 2009年8月号に興味深い演題が載っています。
東京女子医科大学付属青山女性医療研究所美容医療科の根岸 圭先生の演題です。
 
Qスイッチレーザーを照射直後の白色変化(IWP)が生じる最小出力で照射した群とより強い出力で照射した群を比較しています。
 
炎症後色素沈着の頻度は前者で8 %、後者で34 %と大きな差がでています。
 
レーザー照射は出力を抑えて照射したほうが炎症後色素沈着が生じないのです。
ただし白色変化(IWP)が出ないほど出力を抑えるとシミは薄くなりません。
 
このさじ加減が大切なのです。私は毎日、このさじ加減と格闘しています。
 
ちなみに写真の患者さんは最小出力の4J/cm2で照射しています。
それでも炎症後色素沈着が出てしまう人はいるのです。
フィッツツ・パトリック(アメリカの皮膚科の大先生)のスキンタイプが関係しているのかもしれません。
 
他にも炎症後色素沈着を予防する手段として、照射部への10日間テーピング密封療法、痂皮がはがれた後のハイドロキノン軟膏外用を行っています。
 
(PLUS RESTORE NANO HQクリーム フラーレン配合です。クリニックで愛用しています。)

 
統計は取っていませんが、当院での炎症後色素沈着の発生率は10%以下でしょうか。
しみ治療はレーザーを照射するだけの単純な治療ではないのです。
 
しみ治療に対してポリシーがあり、しっかりとアフターフォローするクリニックを選ばれるのがよいと思います。
 
 
参考文献
日本美容皮膚科学会雑誌 2009. Vol 19 No.3
しみの治療  葛西健一郎 文光堂
Qスイッチルビーレーザー治療入門  葛西健一郎 文光堂

Qスイッチルビーレーザー 【実際の施術】

今回はQスイッチルビーレーザーの実際の施術についてです。
前回のブログでも書いたように老人性色素斑(しみ)に最も有効な治療はQスイッチルビーレーザー治療です。アメリカでは大企業のCEOたちはこぞって肌の若返り治療を受けています。美容大国アメリカでは若く見えることがステータスでもあるのです。
皮ふ科SSクリニックでも男性でしみ治療を希望されるかたが増えています。
 
 
61歳の男性のかたです。以前より右頬部のしみが気になっていたとのことです。
しみは中央部がやや厚くなっています。老人性色素斑の一部が脂漏性角化症に進行した臨床像です。このタイプのしみはフォトフェイシャルでは治りません。

 
 
THE RUBY Z1(Qスイッチルビーレーザー)の出番です!
しみは濃いので最低出力の4Jで照射しました。これでも十分IWP(Immediate Whitening Phenomenon)と呼ばれる白くなる現象が出現します。

 
 

照射後は軟膏を外用して医療用テープを貼ります。原則として10日間テープはつけたままです。施術後のPIH(炎症後色素沈着)を予防するためです。

 
 
今回は照射5日後に来院してもらいテープを交換しました。照射部が痂皮(かさぶた)なっているのが分かりますか? この段階では痂皮は絶対に剥がしてはいけません!!

 
 
さあ、いよいよ10日目が来ました。テープを取るこの瞬間がとても楽しみです。
しみが痂皮となりテープといっしょに剥ぎ取られていきます。

 
 
しみは見事に取れました!エクセレント!!
この時期はやや発赤がありますが時間とともに落ち着いていきます。
このようにレーザー治療は適正な照射モード、照射後のケアが揃って完結するのです。

 
 
レーザー治療は痛くないですかとの質問をよく受けます。輪ゴムで肌を軽くはじく感じですね。私は患部をアイスキューブ(氷)で冷却してからレーザー照射しています。これにより施術の痛みは最小限に抑えられます。葛西健一郎先生のアイデアです。

 
 
皮ふ科SSクリニックの冷凍庫には常時アイスキューブがたくさん用意してあります。
スタッフが一生懸命作ってくれるのです。

 
 
皮ふ科SSクリニックはしみ治療に本気で取り組んでいます。
 
しみでお困りの方はお気軽に皮ふ科SSクリニックにお電話ください。
最後まで責任を持ってフォローさせて頂きます。


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