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眼瞼下垂手術の名医たち
2016-10-03 UP! カテゴリー:眼瞼下垂, 診療だより
平成28年9月、私も評議員をつとめていたJAASのLIVE FORUMに参加しました。今回のフォーラムは眼瞼下垂が大きく取り上げられており、午後のライブ手術も
経結膜下垂手術(切らない眼瞼下垂手術)でした。写真向かって左端は韓国の眼形成外科医のChoi 先生、
右から2番目は愛知医科大学眼形成科の柿崎裕彦教授です。
いずれもアジアを代表する眼瞼手術の名医たちです。眼瞼下垂手術のポイントは2つあります(講演内容より)。
①解剖
②ドライアイ解剖は当然熟知しなくてはなりませんが、ドライアイを大きなポイントにされて
いたのは意外でした。講演の一部です。
「高齢者の場合ベル現象(まぶたを閉じると黒目が上を向くこと)が低くなるので、
下垂手術で過矯正すると寝た状態で、瞼の隙間に黒目がくるので角膜炎を生じやすい。
MRDを2.5~3mmまでに留めるべきである」「下垂手術後の見えにくさは乱視の影響がある」
眼科サイドからの意見はいろいろと参考になります。
眼科医は下垂手術でミュラー筋短縮術を第一選択することが多いと思っていましたが、
柿崎先生は挙筋前転術をメインでされているとのこと。これにはかなり驚きました!
日本の眼瞼下垂手術はパイオニアの久保田伸枝先生(元帝京大学眼科教授)が、
長らくミュラー筋短縮術を良しとされた歴史があります。時代は移り変わりますね。
私が通常行っている眼瞼下垂手術は挙筋腱膜をミュラー筋から剥がして瞼板に
固定する挙筋腱膜前転術です。閑話休題。挙筋腱膜前転術を挙筋前転術や挙筋短縮術と呼ぶ先生もいるので
話がややこしくなります。術式の呼び名の統一が望まれます。信州大学方式というのは挙筋腱膜修復術の範疇に入ると考えています。
挙筋機能が低いハードコンタクト性下垂、他院で執刀されて挙筋腱膜が
ズタズタの眼瞼下垂などはミュラー筋短縮術を選択しています。それぞれの状況に応じて、術式を選択することが大切ですね。