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診療だより

皮膚腫瘍の記事一覧

  • 耳のできもの -軟毛嚢腫-

    2014-07-11 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    皮膚腫瘍はさまざまな物があります。

    私も診断に苦慮することがあります。

    今回は、20歳男性の耳介後部に発生した腫瘍です。
    ブログに協力していただき、ありがとうございます。

    左耳介後部の青く透けるやわらかい腫瘍です。
    10年くらい前よりあるとのこと。

     

    高校生の時に、耳鼻咽喉科で針でつかれ、黄色の透明内容液が
    出たそうです。

    う~む、これは難しいです。

    リンパ管腫などを疑いました。

    耳介つけ根のラインをしっかりとマーキングします。

     

    単純縫縮させたいので、切除する皮膚はなるべく少なくします。
    薄い被膜をもつゲル状の塊が見えました。

     

    しっかりと摘出します。

     

    さて、縫えるのか?

    きれいに縫合しました。

     

    切除した検体です。わかりづらいですが、複数の毛が入っています。

     

    病理組織検査です。さあ、なんでしょう?

     

    袋の中にたくさんの毛があります。

     

    軟毛嚢腫(vellus hair cyst)の所見です。

    皮膚腫瘍はたくさんの種類があります。全身のどこにでも生じます。
    私はどの部位でも執刀します。

    今回は、私も術前診断に悩みました。

    もっと診断能力を高めないといけませんね。

    手術をうけた20歳のヤングボーイはすっきりとしたと、とても
    喜ばれていました。

  • 皮膚線維腫 -dermatofibroma-

    2014-06-29 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    臀部、下肢に生じやすい硬いしこり。

    皮膚科でホクロと言われたり、粉瘤と診断されます。

    見て、触れば診断は簡単なんですけどね。

    皮膚線維腫を診断できる皮膚科医はあんがい少ないようです。

    今回もブログに協力いただき、ありがとうございます。

    45歳の女性です。
    数年前より左下腿に褐色のしこりが出現しました。

     

    ダーモスコピー診断です。
    全体がうろこ状で中央は黄色。辺縁は褐色網目状(pigment network)です。

     

    ダーモスコピー画像からも、ホクロ、粉瘤と異なるのは一目瞭然です。

    良性腫瘍ですので、放置してよいです。
    ときに圧痛、掻痒があり、治療を希望されることがあります。

    レーザー治療は不適当であり、メスでの切除がよいです。

    このように皮膚の緊張が少ない方向に紡錘形に切除します。

     

    抜糸直前です。

     

    しばらくテーピングして創の緊張を軽減させます。
    お疲れさまでした。

     

    ここからが、本題です。

    なぜレーザー治療が不適当か?

    答えは病理組織検査にあります。

    このかたの病理組織検査です。
    皮膚線維腫を構成する細胞が、脂肪組織まで及んでいます。

     

    しばらく病理の世界へ。

    表皮突起が延長、基底層に色素沈着があります。

     

    皮膚線維腫は紡錘形細胞より構成されます。細胞密度が高いですね。

     

    脂肪組織まで浸潤しています。

     

    皮膚線維腫は脂肪組織まで浸潤・増生していることが多いです。

    レーザーで腫瘍細胞を取りきろうとすると、真皮の全層欠損を生じます。
    瘢痕になることは必発です。

    皮膚線維腫は何もせずに放置するか、メスによる切除がよいと思います。

    ケナコルト(ステロイド)を局所注射して、隆起が改善したケースもありますが、
    十分なエビデンスがありません。

    皮膚線維腫をしっかりと診断できる皮膚科医に見てもらうことが大切ですね。

  • 汗管腫 -やっかいなぷつぷつ-

    2014-06-19 UP!     カテゴリー:エルビウムヤグレーザー, 皮膚腫瘍, 診療だより

    眼のまわりにできる白いぷつぷつ。

    女性に多いです。

    気になって皮膚科を受診しますが、
    放って置くしかしょうがない、と言われてお終いです。

    汗管腫( Syringoma )は確かに治療が難しい。

    私ですら、そのように思います。

    根治は難しいかもしれませんが、目立たなくすることは可能です。

    ブログに協力して頂いた患者さんの治療経過を見ながら、
    当院の治療についてお話します。

    今回は話が長くなりますが、最後までお付き合い下さい。

    36歳の男性です。下眼瞼を中心に白色の丘疹が多発しています。

     

    写真は右眼ですが、左眼にもプツプツはあります。
    毎朝、顔を見るたびに、とても気になるそうです。

    汗管腫は女性の眼瞼に好発する小丘疹、エクリン汗管の限局性増殖です。
    (皮膚科学 第9版 金芳堂より)

    以前は炭酸ガスレーザーで丘疹を一つずつ焼灼していました。
    熱エネルギーが蓄熱してしまい、治療後に瘢痕を生じることがあります。

     

    汗管腫は腫瘍の深さが人によって異なります。
    腫瘍の深さを確認することが大切と考えるようになりました。

    2mm トレパンで生検して、病理組織検査で深さを確認します。
    7-0 ナイロンで一針縫合するので、傷は目立ちません。

    36歳男性の右下眼瞼より1つ、皮膚生検しました。

     

    一番下のピンク色の細長い塊が眼輪筋です。
    その上にエクリン汗器官の分泌部があります。

    汗管腫の腫瘍細胞は真皮浅層(乳頭下層)に限局しています。

    汗管腫のどんな顔つきをしているか?

    索状物、丸い房構造、ドーナツ状構造(中に分泌物)といろいろです。

     

    汗管腫の丘疹1つにこれだけの細胞があります。
    汗管腫の治療が難しいのは、これだけの細胞を間引かなくてはならないことです。

     

    ホクロのレーザー治療が、母斑細胞すべてを消滅させなくともそこそこの結果になります。

    汗管腫の治療も細胞をある程度間引きすれば外観上は目立たなくなります。
    ただし、将来的な再発の問題は残ります。

    無理をして瘢痕を残すほど照射するよりは、傷が残さないように気をつけ、そこそこ
    目立たなくすることを私は目指しています。

    なにを用いるか?

    エルビウムヤグレーザーでしょう。組織ダメージが少ないからです。

     

    茄子を照射したところです。蓄熱せずに組織が蒸散するので、照射部位どうしの干渉が
    ありません。このことは、丘疹が密に増生する汗管腫の治療に最適です。

     

    エルビウムヤグレーザーで汗管腫を照射したところです。

     

    この方は皮膚生検で汗管腫は浅いところに限局していたので、浅く照射しました。
    通常はもう少し深く照射します。

    照射5日後です。治療して2週間は厳重に閉鎖療法をお願いします。

     

    汗管腫の治療は、治療する医療サイドも患者さんも本気の覚悟が必要です。

    照射して1ヶ月が経過しました。淡いピンク色が残りますが、いづれ消退します。

     

    治療前です。

     

    当院の汗管腫の治療戦略をまとめると、
    ①皮膚生検で汗管腫の深さを確認する。
    ②病理組織検査の結果を参照にエルビウムヤグレーザーで照射する。
    ③10日~2週間の閉鎖療法を行う。
    *治療は片側ずつ行うことが多いです。

    いずれ、もっときれいに仕上がった症例をブログで登場させます。
    乞うご期待!

  • 石灰化上皮腫 -粉瘤ではない!-

    2014-05-08 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    いろいろな皮膚腫瘍の患者さんが、お見えになります。

    18歳の高校生。左上腕のしこりです。
    (ブログに協力していただき、深謝いたします。)

     

    若い人の腕にできる硬いしこり。
    皮膚科専門医ならば、確定診断は容易です。

    このような典型例でも他の皮膚科クリニックで粉瘤と診断され、当院を受診
    されることがほとんどです。本当に不思議な現象です。

    これは典型的な石灰化上皮腫です。

    エコー検査です。ぼんやりとしたモザイク状の内部エコー。
    後方は無エコー領域が広がります。

     

    ダーモスコピー診断です。石灰化の部分が白く透けて見えます。

     

    石灰化上皮腫は粉瘤と同様、毛包系の皮膚腫瘍です。
    石灰化上皮腫は粉瘤と異なり、嚢腫壁がありません。

    石灰化上皮腫にくりぬき法は不適応です。

    無理に小さな穴から摘出しようとすると、内容物がぼろぼろと崩れます。

    腫瘍を紡錘形に切除して、摘出するのが一般的です。

     

    内容物が硬いので擦れて、皮膚が赤い水疱のように見えることがあります。

     

    白いごつごつとした内容物です。崩さないように摘出することがポイントです。

     

    病理組織検査です。好塩基性の小型円形細胞と好酸性のshadow cell から構成される
    腫瘍です。石灰化上皮腫の像です。表皮直下に水疱が形成されています。

     

    皮膚腫瘍は粉瘤だけではありません。

    石灰化上皮腫のような毛包系腫瘍以外に、表皮系、汗腺系、脂腺系、線維組織系、
    脂肪組織系、筋組織系、骨・軟骨系、脈管系腫瘍など多種多様です。

    そのすべてに対応するのが、皮膚外科です。
    そこが形成外科との違いであると、私は考えています。

    全国に、プロフェッショナル意識を持った皮膚外科医が増えるといいですね。

  • 脂肪腫 -切開線と経過-

    2014-04-20 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    皮膚腫瘍の切開線について、尊敬するK先生にアドバイスを
    頂いたことがあります。

    手術の切開線についてまとめました。

    ブログに協力頂いた患者さんに、心より感謝いたします。

    53歳の女性です。右肩のできものが大きくなってきました。

     

    これは育てましたね。服の上からでも目立つようです。

    エコー検査です。上下の矢印の範囲が腫瘍です。レンズ型の iso density mass。
    脂肪腫の所見です。点線が下床ですが、筋膜と癒着しています。

     

    脂肪腫も良性腫瘍ですので、自然消退することはありません。
    少しずつ大きく育ちます。

    大きな脂肪腫の場合、肩こりを訴えることも珍しくないです。

    気になるようならば、私は手術をお勧めします。

    脂肪腫に限らず、皮膚腫瘍は切開デザインが重要です。

    このように切開された創をみかけることがあります。

     

    日常生活の動きでねじれるせいか、たいていは創が広く目立ちます。

    まだ、この切開のほうが、よいのではないでしょうか?

     

    このようにS字型に曲線を描くようなデザインは lazy S 切開と呼ばれます。
    私もこのような切開デザインを習ったことがあります。

    其の利点として、

    ①観音開きのように皮弁が挙上できるので、術野が広がって操作しやすい。
    ②S字型の切開創は直線よりも緊張を分散するので、創が目立たなくなる。

    私の経験では、
    S状でもストレートでも術野の広がりに大差はない、むしろ創はS字のほうが
    よれるせいか、目立つことがある。

    私は皮膚の緊張が少なく、よじれが少ない方向へストレート切開します。
    腫瘍より、なるべく小さく切開するように心がけています。

     

    肩、背中の脂肪腫はたいてい、筋膜と癒着しています。

    スタン式モノポーラフォーセップで筋膜と剥離します。
    筋膜はperforator が多いので丁寧に止血します。

     

    筋膜の上で剥がし取りました。白~灰色に見えるのが筋膜です。

     

    一塊に摘出した脂肪腫です。わりと大きいです。

     

    真皮縫合をきっちりと合わせ、皮膚縫合します。
    縫合創の長さが脂肪腫より小さいのがわかりますか?

     

    手術して1週間、抜糸直後です。
    脂肪腫を取るのに、広く剥離するので紫斑が生じています。

     

    抜糸後からテーピング指導します。
    最低2ヶ月は、続けていただきます。

    創を目立たなくするのに、テーピングは大切です。

    手術1ヵ月後です。
    テーピンングの痕が長方形に見えます。創もかなり落ち着いてきました。

     

    傷をゼロにするのは不可能ですが、そこそこ目立たなくすることに
    こだわっています。

    女性の肩、背部はイブニングドレスなどで露出する部位ですから。
    きれいにしたいですね。

    脂肪腫の切開ラインと術後の管理、どちらも重要です。

  • 骨腫 -Osteoma-

    2013-11-28 UP!     カテゴリー:皮膚腫瘍, 診療だより

    おでこの皮膚腫瘍は、何か?

    前額部で多いのは脂肪腫です。
    頻度は少ないですが、骨腫と呼ばれる腫瘍もあります。

    今回は骨腫について。

    ブログに協力していただいた患者さまに、厚く御礼申し上げます。

    64歳 女性。 幼児期より、前額に膨らみがあったそうです。

     

    触ると、石のように硬いです。典型的な前頭骨腫の所見です。

    超音波検査。硬い腫瘍の表面で超音波が反射するため、無エコー領域が広がります。

     

    骨腫には専用の医療器具が必要です。以前は総合病院に紹介していました。

    ご指名があるので、購入しました。骨ノミとナイロンハンマーです。

     

    通常は髪の生え際を切開します。今回は前額のシワが深い
    ので、シワを利用して切開線をデザインします。1cm強です。

     

    前頭筋を露出します。骨腫はこの下にあります。

     

    白い塊が骨腫です。頭蓋骨と連続しています。

     

    骨ノミとハンマーを用い、ゴツンと剥離摘出します。
    骨ノミをなるべく水平方向に進めるのがコツです。コツ腫だけに、コツんと。

     

    きれいに取れました。表側です。

     

    裏側です。フラットな面で取れているのが分かると思います。

     

    病理組織検査です。骨細胞から構成される腫瘍です。

    創部にドレーンを留置して、筋層、真皮縫合、皮膚縫合と
    三層に縫合します。

    術後に上眼瞼が腫れました。
    骨腫の手術治療はやや侵襲が高い手術です。

    前額は脂肪腫もそうですが、筋層を切開すると、上眼瞼が腫れることがあります。
    手術前には、十分な説明が必要です。

    なかなか、骨腫をしっかりと治療する病院は少ないですね。

    総合病院の皮膚科・形成外科と骨腫をめぐって、いろいろとありました。
    とりあえず、私が頑張ります。

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